大きな音をたててドアが開いたのは
それからすぐのこと
翔太「あなた、来て」
「え?うん」
翔太がムスッとして私を呼ぶ
素直に立ち上がって翔太の方に向かおうとしたら
蓮「やだ」
グイッと引っ張られ
蓮の腕の中にすっぽり入った
翔太「今そういうのいいから」
イライラしてる翔太は
私に手を差し出す
蓮は私の両腕ごとぎゅっと抱きしめた
蓮「あなたのこと翔太くんに渡したくない」
翔太「子供みたいなこと言うなよ」
蓮「じゃあ翔太くんが引いてよ。明日でもいいでしょ?」
翔太「聞いてた?俺お前と話すんじゃなくてあなたに用があるの」
蓮「でもあなたは今俺と楽しんでるじゃん」
翔太「は?」
「ちょっと、喧嘩やめてよ」
翔太「お前のせいだろ!!!」
私が放った一言で翔太がブチ切れて
バタン!と大きな音をたててドアが閉まった
ビクッと肩が震えた
蓮にはびっくりしたのバレちゃったよね
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!