目覚めると道端に倒れていた。3年前からずっとこれだ。もう慣れてきた。空を見上げると、もう夕焼けが落ちかけていた。
早く家に帰らないとまた心配されちゃう。そう思いながら私は走って家に帰った。
ガチャン
お母さんは私を見ると手からコップを落とし、尻もちをついて後ろに倒れた。
パリーン‼︎
コップを落とした音を聞いてお父さんが駆けつけてくる。
お父さんは私をみると顔が青ざめた。
気づかない私はお母さんとお父さんに駆け寄る。するとお父さんとお母さんは私を見て
と叫び私から離れる。
吸血鬼?私が?お母さん達は何を言ってるんだろう。そう思いながら隣に置いてある大きな鏡を見る
私は膝から崩れ落ちた。耳は尖り、肌は青白く、歯は牙に変わっていた。
なんで?なんで私は吸血鬼になってるの?
噛まれた記憶なんて一切ないのに
私は気づくとさらに絶望した。
ここ3年間、道端で寝てしまっている理由、起きると肩が痛い理由
その理由は‥私が知らない吸血鬼に、年月をかけて噛まれ続けていたからだろう。
吸血鬼には催眠能力を持つものもいると学校で習った事がある。
催眠術にはいろんな種類があるらしい。多分私に使った催眠術はおそらく、人を眠らせる催眠術。
肩の痛みは噛まれ続けていたからと言う理由だ。
お母さんとお父さんの方を見ると、2人は私に包丁をつきつけていた。
‥‥‥
私は目に涙を浮かべ、無言で家を出ていった。
家を出て、街を歩きながらそう呟く
私は捨てられてしまったんだ。吸血鬼だから。
そんなことを思いながら新横浜の一件の建物の角で立ち止まり一人で泣いていた。
そんな事をぼそっと呟く。
私はもうあの家の家族じゃないんだ。
こんなこと考えない方がいいか。
近くで吸血鬼とアルマジロが通って来る
あれ?この人、どこかで見たことあるような
確か、学校にあったロナルドウォー戦記っていう、新横浜の退治人の自伝に書いてあったような
名前が思い出せない。まあそんなことどうでもいいか。
足元に何か当たるような感触がした。
目を開け足元を見る
私の足元にいるアルマジロを見つめていると、頭上に影が作られる。それに気づき上を見上げる。
そこには先ほどまでアルマジロと一緒に歩いていた吸血鬼が立っていた。
オーダーメイドの黒いスーツに黒いマントを纏った癖毛の強い吸血鬼と、銀髪碧眼で三角型のピアスをつけている人間がコントのような会話をしており、アルマジロがそれを止めていると言う現場を、私は見せつけられていた。
何を見せられているんだろう。私は。
そんな事を考えていたその時
銀髪の彼が私の方に視線を向ける
私を指差し銀髪の彼は吸血鬼の彼の方を向きながらそう呟いた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。