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第1話

1 . 鏡を覗いて見たものは 
257
2022/11/13 10:19
あなた
う‥‥あぁ。また寝てたのか。
目覚めると道端に倒れていた。3年前からずっとこれだ。もう慣れてきた。空を見上げると、もう夕焼けが落ちかけていた。
あなた
お母さんたちが心配してる‥。早く帰らなきゃ。
早く家に帰らないとまた心配されちゃう。そう思いながら私は走って家に帰った。
ガチャン
あなた
ただいま。ごめんねお母さんまた帰り遅くなっちゃった。
お帰りなさい!お父さん帰ってきてるわ‥‥よ‥。
お母さんは私を見ると手からコップを落とし、尻もちをついて後ろに倒れた。
パリーン‼︎
どうした‼︎‼︎何があった‼︎
コップを落とした音を聞いてお父さんが駆けつけてくる。
あなた‥‼︎あの子‥‼︎
あなたがどうした‼︎
!?
お父さんは私をみると顔が青ざめた。
あなた
ちょっと‥お母さん、お父さん!どうしたの?私の顔に何かついてる‥?
気づかない私はお母さんとお父さんに駆け寄る。するとお父さんとお母さんは私を見て
いや‥‼︎来ないで‼︎
来るな‼︎吸血鬼‼︎娘はどこだ‼︎うちの娘はどこにやった‼︎
と叫び私から離れる。
吸血鬼?私が?お母さん達は何を言ってるんだろう。そう思いながら隣に置いてある大きな鏡を見る
あなた
えっ‥‥?
あなた
なにこれ‥
私は膝から崩れ落ちた。耳は尖り、肌は青白く、歯は牙に変わっていた。
なんで?なんで私は吸血鬼になってるの?
噛まれた記憶なんて一切ないのに
あなた
‥‥‥あぁ‥。そうか。
私は気づくとさらに絶望した。
ここ3年間、道端で寝てしまっている理由、起きると肩が痛い理由
その理由は‥私が知らない吸血鬼に、年月をかけて噛まれ続けていたからだろう。
吸血鬼には催眠能力を持つものもいると学校で習った事がある。
催眠術にはいろんな種類があるらしい。多分私に使った催眠術はおそらく、人を眠らせる催眠術。
肩の痛みは噛まれ続けていたからと言う理由だ。
あなた
そんな‥‥なんで私なの‥?
あなた
私‥何か悪いことでもしたかな‥。
お母さんとお父さんの方を見ると、2人は私に包丁をつきつけていた。
あなた
違うの!お母さん!お父さん!
家に入ってこないで‼︎出て行って‼︎
吸血鬼の娘なんていらない‼︎‼︎ここから出ていけ‼︎
‥‥‥
私は目に涙を浮かべ、無言で家を出ていった。
あなた
お母さん‥お父さん‥なんでそんなこと言うの‥。
家を出て、街を歩きながらそう呟く
私は捨てられてしまったんだ。吸血鬼だから。
そんなことを思いながら新横浜の一件の建物の角で立ち止まり一人で泣いていた。
あなた
私が吸血鬼じゃ無かったら‥。まだお母さんとお父さんとお話しできたのかな
そんな事をぼそっと呟く。
私はもうあの家の家族じゃないんだ。
こんなこと考えない方がいいか。
ドラルク
なんか面倒臭い事になりそうな任務内容だったし、あー言うのはロナルド君に任せて、私たちは一緒に遊ぼうな!ジョン!
ジョン
ヌー!
近くで吸血鬼とアルマジロが通って来る
あれ?この人、どこかで見たことあるような
確か、学校にあったロナルドウォー戦記っていう、新横浜の退治人の自伝に書いてあったような
名前が思い出せない。まあそんなことどうでもいいか。
足元に何か当たるような感触がした。
目を開け足元を見る
ジョン
ヌー‥?
あなた
アルマジロ‥?
私の足元にいるアルマジロを見つめていると、頭上に影が作られる。それに気づき上を見上げる。
そこには先ほどまでアルマジロと一緒に歩いていた吸血鬼が立っていた。
ドラルク
これは素敵なお嬢さん、こんな所で何をしているんですか?ここは危険ですから私が家まで送ってあげま‥
ロナルド
今まで何処に行ってたこのクソ吸血鬼‼︎
ドラルク
ウアー‼︎ロナルドくん!?任務は‥
ロナルド
お前がどっかぶらついてる間に終わらせてきたわ‼︎
オーダーメイドの黒いスーツに黒いマントを纏った癖毛の強い吸血鬼と、銀髪碧眼で三角型のピアスをつけている人間がコントのような会話をしており、アルマジロがそれを止めていると言う現場を、私は見せつけられていた。
何を見せられているんだろう。私は。
そんな事を考えていたその時
ロナルド
‥‥?
銀髪の彼が私の方に視線を向ける
ロナルド
おい。ドラ公。この子、誰だ?まさか攫ってきた訳じゃないだろうな?
私を指差し銀髪の彼は吸血鬼の彼の方を向きながらそう呟いた。

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