私を指差しながら銀髪の彼は吸血鬼の彼の方を向きながら吸血鬼の彼の方を向く
私は脳が理解できないまま言い合っている2人を見つめる。
すると銀髪の彼が、顎に手を当て考えるように私を見た。
VRC‥確か、仮性吸血鬼治療薬の開発をした所だったかな
でも‥吸血鬼の治療薬はまだ無いはず‥
なんでそんな所に電話するのかな‥
家に帰ったほうがいい‥
嫌だ‥嫌だ‥嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ‼︎
家に帰るのだけは‥絶対に‥‼︎
アルマジロが私の顔を覗く。
私はアルマジロに撫でられながら
母達と一緒に過ごした日々を思い出した
いってらっしゃいの声。美味しいご飯。優しく撫でてくれた母と父の手のぬくもり。
私は家族が大好きだった。とても幸せだった。
だけどその幸せも今日で終わった。
私はもうお母さん達とは赤の他人なんだ
前まであんなに優しく私を育ててくれたお母さん達は
もう私のことなんて嫌いなんだ
私は銀髪の彼と吸血鬼の彼の前で
大声で泣いてしまった
彼らはしばらく沈黙になった。
笑いたければ笑えばいい。
そんなことを考えていた。
すると、銀髪の彼が私に話しかける。
そんなことを言われるとは思ってもなかった。
吸血鬼の彼も便乗して私に話しかける。
この人たちなら‥大丈夫かな。
そう思い、私は彼らに話した。
3年前から謎の眠りに襲われていたこと
起きたら吸血鬼になっていたこと
そして‥‥母さんと父さんのこと
私は口を開く。涙が止まった目を擦り、銀髪の彼を見る。
私は自ら命を絶つために立ち上がる。
これでいいんだ。
私は住む場所も生きる希望も、何もかも失ったのだから
歩き出そうとした途端、誰かに腕を掴まれる
急に変なことを言い出す彼らに私はビックリした。
吸血鬼の彼とアルマジロが一緒に頷く。
この人達の強い意志が伝わってくる
私を見捨てられない
私をどうか助けてあげたい
そんな意志が伝わってくる
ガッシリと掴まれた腕を離してもらうと、私は彼の方を向く。
私は嬉しかった。
彼らの事は信じていいのかもしれない。
私の口元はいつのまにか笑顔になっていた。
私の答えはもちろん‥
こうして私は吸血鬼退治人に引き取られた。
ここから私の新しい生活が始まるんだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。