第2話

2,心を許した初めての人達
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2022/11/13 11:55
ロナルド
おいドラ公、この子、誰だ?
まさか攫ってきたわけじゃないだろうな?
私を指差しながら銀髪の彼は吸血鬼の彼の方を向きながら吸血鬼の彼の方を向く
ドラルク
攫うなどするわけないだろう!!君じゃないんだから‼︎
ロナルド
俺もそんなことしねえよバーカ‼︎
私は脳が理解できないまま言い合っている2人を見つめる。
すると銀髪の彼が、顎に手を当て考えるように私を見た。
ロナルド
見たところ、吸血鬼みたいだが‥
ロナルド
仮性吸血鬼ではなさそうだな‥
ロナルド
とりあえず、VRCに電話するか‥?
VRC‥確か、仮性吸血鬼治療薬の開発をした所だったかな
でも‥吸血鬼の治療薬はまだ無いはず‥
なんでそんな所に電話するのかな‥
ドラルク
待て、ロナルドくん。見たところ、この子は吸血鬼になったばかりみたいだ。
ドラルク
服装を見る限り学生だな。バッグを持っていると言うことは、まだ彼女は家に帰っていない可能性が高い。
ドラルク
彼女のことをVRCに電話する前に、まずは家に帰って両親に事情を伝えたほうがいい。
ロナルド
なんで吸血鬼になったばかりだってわかるんだよ
ドラルク
私をナメているのかロナルドくんは。私は200年生きてる高等吸血鬼(ヴァンパイアロード)だぞ。
ドラルク
200年も生きていればそのくらいわかる。
ロナルド
あぁ、そうだったな。すっかり忘れてた
ドラルク
忘れるんじゃない若僧‼︎
家に帰ったほうがいい‥
嫌だ‥嫌だ‥嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ‼︎
家に帰るのだけは‥絶対に‥‼︎
ジョン
ヌ〜‥‥?
アルマジロが私の顔を覗く。
ジョン
ヌヌヌイヌ
あなた
‥‥‥
私はアルマジロに撫でられながら
母達と一緒に過ごした日々を思い出した
いってらっしゃいの声。美味しいご飯。優しく撫でてくれた母と父の手のぬくもり。
私は家族が大好きだった。とても幸せだった。
だけどその幸せも今日で終わった。
私はもうお母さん達とは赤の他人なんだ
前まであんなに優しく私を育ててくれたお母さん達は
もう私のことなんて嫌いなんだ
私は銀髪の彼と吸血鬼の彼の前で
大声で泣いてしまった
ロナルド
‥うわッ‥!ちょッ‥何で泣いてるんだ!?
ジョン
ヌ〜!ヌ〜!
ロナルド
おい!ドラ公!お前何したんだよ!
ドラルク
なんでもかんでも私のせいにするな!若僧!
私は何もしてないからな!
あなた
‥‥ない‥
ロナルド
‥‥?
あなた
帰りたくない‼︎
あなた
家に帰るなら死んだ方がマシだ‼︎
彼らはしばらく沈黙になった。
笑いたければ笑えばいい。
そんなことを考えていた。
すると、銀髪の彼が私に話しかける。
ロナルド
なあ、何があったか俺に話してくれないか?
ロナルド
帰りたくないって事は、それほどに嫌な事があったって事だろ
そんなことを言われるとは思ってもなかった。
ドラルク
そうだとも。話してみれば案外スッキリするかもしれないぞ。
吸血鬼の彼も便乗して私に話しかける。
ジョン
ヌ〜!
あなた
‥‥‥
この人たちなら‥大丈夫かな。
そう思い、私は彼らに話した。
3年前から謎の眠りに襲われていたこと
起きたら吸血鬼になっていたこと
そして‥‥母さんと父さんのこと
ロナルド
‥‥
ドラルク
そんな事があったとは‥
ロナルド
災難だったな‥
ジョン
ヌ〜
あなた
いいんですよ。吸血鬼になった私はいらないも同然
あなた
自分の娘が吸血鬼なんて嫌ですよね
あなた
話を聞いてくれてありがとうございます。
ロナルド
あっ!おい!どこに行くんだよ!
私は口を開く。涙が止まった目を擦り、銀髪の彼を見る。
あなた
話して楽になったので。
あなた
死んできます。
ドラルク
‥!!
私は自ら命を絶つために立ち上がる。
これでいいんだ。
私は住む場所も生きる希望も、何もかも失ったのだから
歩き出そうとした途端、誰かに腕を掴まれる
あなた
‥‥なんですか?
ロナルド
‥‥‥
ロナルド
なあ、アンタ、もしよかったら俺の退治人事務所でアシスタントとして働かねえか?
ロナルド
それでよ、帰る家がないんだろ?
ロナルド
なら、俺達と暮らそうぜ
ドラルク
同居なら、私も彼と住んでるから問題はないと思うぞ!3人暮らせるほどのスペースはある!
ジョン
ヌ〜!
ロナルド
テメエは勝手に住んでるだけだろ‼︎
ドラルク
なんだと‼︎
急に変なことを言い出す彼らに私はビックリした。
あなた
アシスタント‥‥何言ってるんですか
あなた
それに‥暮らすって‥私は吸血鬼ですよ‥‥許されるわけ‥
ロナルド
吸血鬼とか、そういうのは関係ねえよ
ロナルド
ただ、俺はアンタが見捨てられねえんだよ
ロナルド
例え吸血鬼だろうと、困ってる人を見捨てるなんて退治人‥‥いや、人間として失格だ。
ロナルド
後、アンタの話聞いて見捨てるなんてできるわけねえじゃねえか
吸血鬼の彼とアルマジロが一緒に頷く。
この人達の強い意志が伝わってくる
私を見捨てられない
私をどうか助けてあげたい
そんな意志が伝わってくる
あなた
‥‥‥
ガッシリと掴まれた腕を離してもらうと、私は彼の方を向く。
あなた
いいん‥ですか‥‥?
ロナルド
あぁ‼︎もちろんだ!
ジョン
ヌ〜!
ドラルク
是非とも歓迎しよう同胞よ!
私は嬉しかった。
彼らの事は信じていいのかもしれない。
私の口元はいつのまにか笑顔になっていた。
私の答えはもちろん‥
あなた
はい‥!よろしくお願いします!
ロナルド
決まりだな!
ドラルク
じゃあ早速事務所に入ろうじゃないか!
ジョン
ヌヌ〜‼︎
ロナルド
とりあえず、この後の事は事務所に入ってから考えようぜ!
あなた
‥はい!
こうして私は吸血鬼退治人に引き取られた。
ここから私の新しい生活が始まるんだ。

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