頭を乾かしながら私は杏寿ちゃんのことを考えていた。
正直杏寿ちゃんが分からない。
なんであんなに怒ったのかも分からない。
だって、ただの兄弟だよ?嘘ではあるけど...
えななんはさとみが推しだけど受け止めてくれた。
なんであんなに酷いことしたんだろう...。
そんなに私を悪くさせたかったの?
わざわざ嘘までついて綾凪ちゃんのこと利用して...。
……もうこんなこと考えたくない。
私は考えるのをやめた。
そう言ってさとみはソファの下に座った。
私はソファの上からさとみの髪を乾かす。
...ふわふわしてる。
いい匂い...。
何度も何度もブリーチしている髪だけど
手入れが行き届いているからか髪質は凄くいい。
さとみはリモコンを探してテレビを付けた。
...私もブリーチしてみたいたいなぁ。
さとみと同じ色にしてみたい...。
ガタッ
ビクッ
さとみが少しキレ気味に言う。
恥ずかしいのか少し笑っている。
さとみもさすがにびっくりするときはあるんだ。
ちょっと親近感が湧く。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。