事の発端は、
2年に進級したばかりの頃。
「あ、あなたちゃん」
2年2組。
新しいクラスにドキドキしながら教室に入れば、
1年の時も同じクラスで仲良くしてくれていた角名くんがいた。
『す、角名くん!また同じクラスだ!』
人見知りの私は、
思わず嬉しくなって彼のところに駆け寄った。
スマホをいじっていた角名くんは、
ひらひらと手を振りながら笑っている。
彼と仲良くなったきっかけは、
私も彼も愛知県出身という共通点があるからだ。
高校入学と同時に、私は家族と一緒に兵庫県に引っ越してきた。
両親は東京の人だから、元々私は標準語で育っていて、
関西弁はネイティブじゃない。
それに少し引っ込み思案な性格もあって、
テンポの速い関西弁、
ノリのいい関西弁に、なんとなくついていけず、
取り残されている感じがあった。
どうしよう、友達できない。
話しかけなきゃ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。