「知念さんって、横須賀からやってきたんだよね?」
「うん」
「そっかー。あ、じゃあ訛りにびっくりした?」
「ま、まあ…」
正直まだ訛ってる人と話したことないからよく分かんないけど、ひそひそと聞こえる声からには、聞きなれない独特な訛りがある。
「私達も東京から来ててね。初めて話した時にはびっくりしたの」
「東京のどこから…?」
「……どこだっけ。 そうそう!渋谷区から」
「へぇー。…そっか」
「ふふ。 あ、じゃあ、ゆっくりして行って?私、戻んなきゃいけなくて」
眉を思いっきり下げて申し訳なさそうに言う。
「……あ、うん……」
だけど、そう言うと花が咲いたような明るい笑顔を見せ、また奥へ戻っていった。
……なんか、忙しい人だな。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。