
第4話
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毎朝、息切れしながら学校に通い、極力クラスメートとの接触を避けつつ授業をこなし、誰もいない家に帰って砂を噛むような時間を過ごす。
これが僕の、変えようのない日常__
だった。
だけど今は違う。
毎朝、大ちゃん、涼介、あなたちゃんと一緒に学校に通い、一緒に行動するようになった。
誰もいない家に、大ちゃんや涼介。ある日にはあなたちゃんまでが遊びに来てくれて、平日にも関わらず泊まっていったりもした。
だから今じゃあ、あんなに退屈だった日々が嘘のように過ぎていく。
「知念くん、もう学校には慣れた?」
放課後、いつものように3人で並んで歩く。
「まあ……なんとか」
「ちょっと変な人もいるけど、みんないい人だから!」
あ、変な人ってのは大ちゃんね。と小さな声で付け足した。
「あなたさんー?聞こえてますよ?」
「え、何がー?なんか言ったかなー?ねえ、知念くん、涼ちゃん」
芝居がかかった口調で、首を左に傾けたり右に傾けたりしている。
それはどんなに目が腐ってても可愛いと思ってしまうほど可愛かった。
涼介や大ちゃんは口元が緩んでいて……うん、実に気持ち悪い。
「ねえねえ!夏休みに、みんなでどっか行こ?」
突然、あなたちゃんは2、3歩前に出て腕を大きく広げて言った。
「てか、強制!知念くんの家で、色々するの!」
「えっ?ぼ、僕の家で…?」
「うん!ね?いい考えだと思わない?」
目をキラキラさせて子供のように飛び跳ねる。
一度大ちゃんと涼介は顔を見合わせ頷くと、テンションを上げて真っ直ぐどこかへ向かって走っていった。
「ふふっ。元気だねー、ほんと」
「あなたちゃんも元気だけどね」
「そう?……元気が一番だ」
一瞬だけ僕を見たあなたちゃんは、走っていく2人を眩しそうに目を細めて微笑んだ。
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