朝7時。
彼らの朝は遅い。けれど、私は13人分の洗濯物をしなくてはならないし、お風呂場の掃除もある。
誰もいないリビングのソファに座り、独りでサンドウィッチを食べながらテレビのニュースを流し観ている。
瞬きをギュッとしながら、私に微笑みかけてきたのは、今起きたばかりのスンチョル。
元々白い肌が、心なしか青白くみえる。
左肩をぐるぐると回しながら、冷蔵庫を物色し始めるスンチョル。
立ち上がった私に、手と首を振りながらそういうと、「ほら、座って」と合図する。
スンチョルは、そういってもう一度私に微笑むと、コーヒーメーカーの電源を入れてコップをセットした。
そして、ゆっくりと私の隣に腰掛ける。
食べ終わったお皿を前に、スンチョルに貰ったコーヒーを飲む。
静かに、2人とも前を向いている。
いきなりこんなことを言われて、顔があつい。
顔が火照っているのがバレないように、ゆっくりとコーヒーを飲み顔を隠す。
チラッとスンチョルを見ると、真顔で真っ直ぐ前を向いていた。
私に気づき、口元だけニコッと笑う。
私の頭の上に手を置き、優しく撫でられた。
少し下を向いて固まる私。
ドアが開いたと思ったら、目を細めてこっちを見ているスニョンの姿。
隣のスンチョルが「おぉ」と驚いたように声を出す。
右腕を曲げてガッツポーズをしながら、ふんっと鼻を鳴らすスニョン。
熱気が伝わってくる。
大きく笑顔で手を振るスニョンと、優しく微笑みを向けるスンチョル。
2人が出て行ったあと、少し冷めたコーヒーをズズッと飲んだ。
まだ、顔は熱いままだ。
不覚にも、ドキッとしてしまった自分に、急に恥ずかしさを感じた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。