第12話

クプスと早めのモーニングコーヒー
594
2021/02/02 09:00

朝7時。

彼らの朝は遅い。けれど、私は13人分の洗濯物をしなくてはならないし、お風呂場の掃除もある。

誰もいないリビングのソファに座り、独りでサンドウィッチを食べながらテレビのニュースを流し観ている。
クプス
おはよー…あなた
瞬きをギュッとしながら、私に微笑みかけてきたのは、今起きたばかりのスンチョル。

元々白い肌が、心なしか青白くみえる。
あなた
おはよう。早いね。
クプス
腕がすげー痛い。なんでだろ?
左肩をぐるぐると回しながら、冷蔵庫を物色し始めるスンチョル。
あなた
あ、何か食べる?作ります!
クプス
いやいや、いいよ。まだ朝早いから。俺のことは気にしないで。
立ち上がった私に、手と首を振りながらそういうと、「ほら、座って」と合図する。
あなた
ほんとに、作るのに…
クプス
いいの。あいつらが起きたら作ってやってよ。
あなた
何か食べたいでしょ?
クプス
じゃあ、コーヒー、一緒に付き合ってよ。
あなた
え?
スンチョルは、そういってもう一度私に微笑むと、コーヒーメーカーの電源を入れてコップをセットした。

そして、ゆっくりと私の隣に腰掛ける。
クプス
ん、あなた、コーヒー飲めるよね?
あなた
うん、ありがとう。
食べ終わったお皿を前に、スンチョルに貰ったコーヒーを飲む。

静かに、2人とも前を向いている。
クプス
ほんと、あなたには感謝してるよ。
あなた
え?
クプス
いつも大変でしょ?いきなりこんなところで働かされてさ。
あなた
いや…
クプス
あなたで、本当に良かったよ。
あなた
…た、楽しいよ、私も。
いきなりこんなことを言われて、顔があつい。

顔が火照っているのがバレないように、ゆっくりとコーヒーを飲み顔を隠す。
クプス
みんなもすごく感謝してると思う。
あなた
クプス
笑顔が増えたと思う。
あなた
チラッとスンチョルを見ると、真顔で真っ直ぐ前を向いていた。

私に気づき、口元だけニコッと笑う。
クプス
ほんとにありがとう。
私の頭の上に手を置き、優しく撫でられた。

少し下を向いて固まる私。


ホシ
やーやーやー!なにー、いい雰囲気してー。
ドアが開いたと思ったら、目を細めてこっちを見ているスニョンの姿。

隣のスンチョルが「おぉ」と驚いたように声を出す。
クプス
おはよ。お前どうしたの?早いな。
ホシ
今日俺だけ入り時間早いのみた?
クプス
見てない。
ホシ
ふふん、今日の撮影、俺の企画だからね!
クプス
あー
ホシ
そりゃ早起きするしかないでしょ!
右腕を曲げてガッツポーズをしながら、ふんっと鼻を鳴らすスニョン。

熱気が伝わってくる。
クプス
俺も今日事務所早く行かないとだから、一緒に出る?
ホシ
いいね。朝飯食った?
クプス
いや、まだ。
ホシ
おっけ。じゃあ俺も無しで行こーっと。
クプス
ん。じゃ、いってくるね、あなた。
ホシ
ばばーい。
あなた
あ、うん!いってらっしゃい。
クプス
あ、コップ…ごめんね。
あなた
気にしないで!
大きく笑顔で手を振るスニョンと、優しく微笑みを向けるスンチョル。

2人が出て行ったあと、少し冷めたコーヒーをズズッと飲んだ。


まだ、顔は熱いままだ。

不覚にも、ドキッとしてしまった自分に、急に恥ずかしさを感じた。



プリ小説オーディオドラマ