ご飯を作っていると、リビングのソファに腰掛けているジョンハンの声。
足を組んでスマホを見ながら、なおかつ無表情である。いつもの光景。
今日は、ジュンが炒飯を食べたがっていたのでこれから炒飯を作る。
今日は中華の日。
メンバーにご飯できそうですよとメッセージを送る。
バーノンからスタンプの返事がきた。
…頼みごと、多すぎない?
チラッとジョンハンを見ると、私を指差して「怒った怒った」と言って笑っている。
黙って見ていても、ジョンハンはニヤニヤしたままで。持っていたスマホをテーブルに置き、こちらへ近づきキッチンのカウンターにもたれ掛かる。
「くへへ」と子供のように笑いながら、両手で交互にツンツンするように私を指さす。
本当に、少しだけイラッとした、もう一度。
ご飯のメッセージを読んだのか、お腹を空かせたミンギュがリビングに来た様子。
美味しそうと何度も言ってくれる反応が、正直とても嬉しい。
ホッと胸を撫で下ろすミンギュ。料理が並べられたテーブルを前に、ニコニコと微笑みながら座る。
今度は私の隣にたち、顔を覗き込むジョンハン 。
ジョンハンを睨みながらそういうと、「バレた?」といいながら笑っている。
この人は、どこまでが本気で何が嘘なのか、本当にわからない人だ。
ジュンの、「今日外食することになった」というメッセージが目に入った。
炒飯…作ったのに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!