午前10時、マネージャーさんから連絡がきた。
「ウジを呼んできて」と。
レコーディングスタジオへ、集合の時間になっても来ないのでジフンを起こして欲しいとのことだ。
他のみんなはレッスンの方に行っていて誰もいない。
物静かなリビングからジフンの部屋に向かう。ノックをするが、返事はない。
中に入ると、ベッドの上の布団がモコッと盛り上がっている。あの中にいるのだろう。
パタパタと布団の上から叩く。
少しだけモソモソ動くのがわかる。だけど、なかなか手強い。
布団の中から手が出てきたかと思うと、グイッと腕を掴まれる。
そのまま強い力で引っ張られ、布団の上に倒れ込むように横になった。
目の前にひょこっと顔が現れる。
そして、目がパチッと開く。
真正面で向き合い、静止。
飛び起きるジフンを、何も言わず見つめる。
そしてまた、見つめ合って静止。今、どういう状況?
ジフンは目を逸らして謝ると、サササーッと素早くベッドから起きて椅子に垂れかかったジャージを手にする。
そのまま静かに部屋を出て行った。
ベッドに取り残された私も、速やかに起き上がり、落ちたスマホを拾う。
ジフンの部屋から出ると、すぐにスニョンとジフンが話す姿が見えた。
私が挨拶すると、ものすごい勢いで振り返る2人。
今日の夜ご飯、何作ろうかな…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。