リビングで、マンネくんのシャツの、取れたボタンを縫い付けていると、スングァンの声。
薄い緑色のスウェットを広げて見せながら、泣きそうな顔をして悲鳴を上げている。
唇を尖らせてブツブツと文句を言うスングァン。
丁度部屋から、バーノンが出てきて。横目でチラッとスングァンを見て、すぐにスマホに目を戻してから私の隣にドシンと座る。
スングァンは、呆れたようにバーノンを見ると、首を垂らしてトボトボと部屋に戻る。
バーノンは、すでに携帯ゲームを始めており気に留める様子もない。
バーノンは「OK」と小さく返事して、ゆっくりとキッチンに向かう。
怒っている様子でも、反省している様子でもないバーノンを見届けて、私はスングァンの部屋に。
ドアをノックをすると、「なに?」と眉毛を上げてスングァンが出てきた。
スングァンはタタタッと奥に入り、すぐにさっきのスウェットを持ってきて私に渡した。
このケチャップ?のしみ、たぶん取れる。
1時間後、お腹を空かせてキッチンに来たスングァン。
洗濯物を畳む私の後ろのソファには、スマホに夢中のバーノンがまだ座っている。
部分的にまだ濡れてはいるけれど、シミの取れたスウェットを見せる。
キッチンからこちらへ、目を大きく開けて駆け寄ってくるスングァン。
スングァンの大きな声がリビングに響き渡る。
私は、オンマじゃない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。