22時、独りリビングでテレビを見ながらボーッとしていると、ドアが開いて大きな声が聞こえてきた。
そしてすぐに、頬の赤いスニョンが、飛びかかるようにして私に覆い被さってきた。
肩を押さえるが無意味なようで。
ぞろぞろと数人が入ってきて、スニョンへ注意をするが、なんの意味もない。
今日は打ち上げがあったので、全員夜遅く帰ってきたのだ。だから私も、ひとりでリビングでくつろいでいたというわけ。
ジスはそういうと、私に覆い被さったままのスニョンの肩をぐいっと両手で引っ張り、そのまま丁寧にスニョンを床に置いた。
ミンハオに「おいで」と手招きをされ、2人の後ろに続いてミンハオの部屋へ向かう。
お洒落な部屋を見渡しながら、言われた通り空いているところに座る。
ジスは、慣れた顔をして座ると、すぐにスピーカーを触り音楽を流し始める。
部屋にある小さめのワインセラーから赤ワインを取り出すミンハオ。
私、ワインの味の違いわからないのに…と、少し申し訳ない気持ちになる。
ジスの「チアーズ」で乾杯して、ワインを口にする。
3人で少しずつ話しながら、静かな夜を過ごす。とても穏やかで、平和な夜。
一本のワインが無くなるところで、今度はもう少し辛めのワインを追加してくるミンハオ。
いいね、と、ジスが親指を立てる。
珍しく、酔った様子のミンハオ。いつもより笑顔が多くてよく笑う。
私も少しだけ酔って、なおかつ褒められて少し気分がいい。
ジスを睨みつけると、「ほら」と指を差された。
それでもミンハオは、「かわいいよ」と微笑む。
ちょっと、酔いすぎてるんじゃない?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。