勢い良く扉を開け、みんなの元へ行った。
いつも通りに企画を進めていた。
でも、少しずつ睡魔に襲われ瞼が降りて行った。
部屋に響く声に反応し、目を開いた。
その声の正体は…。
さぁやちゃんは大好きだ。でも、アバハウスには訪れて欲しくなかった。
少し、その場にいるのが気まずく感じた。
何故だか、みっくんの楽しい声が聞こえるごとに胸が締め付けられるようで、苦しかった。
そして、数時間が経過すると、さぁやちゃんとの企画も次々と進み、動画は終わった。
終わったと同時にこちらにさぁやちゃんが来てくれた。
いつも画面の中にいるさぁやちゃんが目の前にいて緊張と喜びと嫉妬と色々な感情に押し潰されそうだった。
茶化すように言ってきた。
そのおかげで、ほんの少しだけ感情が落ち着いた気がした。
声の主が誰かなんて顔を見なくたってすぐにわかった。
みっくんの顔を一瞬も見ずに、さぁやちゃんの前にいた私は席を立ち、家を出ようとした。
外へ出て、のんびりと歩きながら色々なことを考えていた。
みっくんからの告白を受けた時もこんな三日月で雲1つなく綺麗な夜だった。
一方的に私が好きなのだとばかり思っていたから告白を受けた時は正直疑った。
でも、その疑いを晴らすようにみっくんは毎日私の事を優先し、笑わせてくれた。幸せな気分にしてくれた。
そんな事を考えている間に家の近くまで来ていた。
室内へ入ると、ふとさっきの事を思い出した。
さぁやちゃんが私の存在を認識していた、しかも つりめくんの彼女 と。どうしてなのだろう。不思議でたまらなかった。
私のみっくんに対しての気持ちはブレずにいるけれど、さぁやちゃんに「つりめくんの彼女」と言われたとき急に自身がなくなった。もしもこの期間の中でみっくんの気持ちが少しでも揺らいだ事があるのなら私が彼女を名乗る必要は無い。そう思ったから。
自然とため息が出てきた。
どうしたらいいんだろう。
正直、あんな小さな事でこんな大きな事になるとは思っていなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。