side . taiga
恋人は 、 アイドルだ 。 ステージに立てば輝き 、 多くの人を魅了する 。
そして俺は同業としてそんな彼を尊敬している
でも 、 そこを降りればただの人だ 。
そこら辺にいる人より容姿がいいだけの 、
すごくこだわりの強いただの人間
「 ねぇ 、 京本 。 俺このコップは白湯飲む時のやつって言ったよね? 」
… また始まった
『 あー 、 ごめん 』
「 ごめんってさぁ 、 俺何回も言ってんのに 。 お茶飲むのはこっち! 」
食器棚から出されたそれは 、 俺が今使っている '' 白湯用 '' とさほど変わらず 。
くだらないな 、 御免だけど 。
いつもいつも俺はこの神経質なところが堪らなく嫌だ .
最近はそんなことも増えた 。 疲れてるから ?
俺は仕事が重なると部屋がひっくり返るタイプで 、
相手は細かいところが気になり出すタイプだ .
『 なんか … さ 』
「 なに? 」
『 もういいや 、 俺ら合わなかったのかもね 』
「 … え? 」
『 別れよう … ここ出るわ 。 』
「 京本 … ? 」
自室に向かって地方に行く時に使っている鞄を引っ張り出す。
最低限の着替えやスキンケアの物品を放り込む 。
「 ね 、 なんで 、 」
背中の方から '' 俺なんかしちゃったかな 、 教えて 、 直すから 、 '' って聞こえるけど
直らないだろうなぁ … 多分 。
… そうして 、 声には出さないけど問いかけには答えておいた 。
あらかた詰め終わると 、 後ろを振り返る 。
『 フィギュアとかそういうのはまた 、 北斗が居ない時に取りに来るから 。 合鍵はその時置いて帰るわ 』
「 やだ 、 ねぇ 、 俺 きょーもとがいないと 、 」
『 もうさ 、 限界なんだよね 。 その神経質なところ … ごめんね 』
… バタン 。
思いのほか勢いよく閉まった扉を背に
俺はこれから行く宛を探すことにした 。
next → ♡ × 10
────────────────────────────
「 only you 」の方は後々出していこうと思っております (🎀 . .)"
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!