side . hokuto
やってしまった 。
ちょっと 、 口煩く言い過ぎたかもしれない
あれだけ器が広い京本を 、 怒らせてしまった
神経質なところがあることは自覚している
服の畳み方とか 、 洗面台に置いている歯ブラシ粉の位置とか
他にもまだ 、 立て続けに不快にしたことがあったかもしれない
グループ仕事に加えて個人の仕事が重なっていたから 、
なんてことが文句を言いすぎた理由に挙がるが
京本は今舞台中だ 。
俺のそれなんか言い訳に手札に加えるには弱すぎる
さっきからラインは既読無視されたままだし 、 部屋の中は静まり返ってる .
電話してみようか 。
思いついて番号をプッシュし端末に耳を当てるも 、 発信音が鳴るだけ 。
4回目 、 5回 、 6 …
駄目だ 。 出てくれない 。 どうしよう
またラインを開く 。 … 誰からの通知もない
なんて送れば返信くれるかな 。 ねぇ 、
「 お願い 、 俺京本がいないと生きていけないよ 」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。