すとぷりハウスにて
▽梁山 理生 《莉犬》 side
ご飯を食べながらなーくんが聞いてきた。
どうだった??と聞かれたらあの子の事しか思い浮かばなかった。
そこからあなたの話が続いた。
ころちゃんが、
死なせたらいいじゃん。
なんて言うけど、簡単に捨てる命はもったいない。
正直言えば俺も小学生の頃いじめられていたから気持ちがわかる、けどそんなレベルのいじめじゃない。
あと、微かに見えただけだから見間違いかもだけど、
腕には数箇所切り傷や痣があった。
リスカ..自分で傷つけているのかな。
せっかく綺麗な顔で可愛いのにもったいないな...。
俺が助けてあげることは出来ないのかな??
▽ あなたside
家に帰りたくない、帰りたくないけど帰らないと。
私は思い足を前へ前へと動かした。
また1発また1発と重い拳で殴られる、痛い、けど、我慢だ。
どうせ、ここを出ても私の入れるところはない、だから仕方の無いこと。
私はいつも母の分までご飯を作っている。
ほら、呼んだだけでこの始末だよ。死にたいな...。
ご飯を食べ終わると母は出かける、どこに行っているのかは知らない。聞けない。
母が出かけたらお風呂に入り洗濯物も家事は一通りやって私の唯一の楽しみが待っている。
私は2階へと駆け上がりベットに寝転がりスマホを開いた。
すとぷりの曲ばっかり聞いてる、もちろんほかの歌い手もきくけど、1番はすとぷりだった。
曲を一通り聞いたらさとみくんところちゃんのゲーム実況を見る。
私が笑うのはこの時だけかもしれない。
夜中になると母は帰ってくる、そして私をよぶ。ちなみに母には名前を呼ばれたのは両手で数えれるくらいだ。
何されるんだろ...私は従うがままスマホを手渡した。
すると検索履歴からすとぷりを見つけた母は、
バチン
ほっぺをビンタされた、そしてスマホを投げた。
パリン
私の心もスマホもなにもかも割れた。
私が生きているのはすとぷりのおかげ、すとぷりのため。
ほんとすとぷりには感謝しきれないほど感謝しかない、それだけ好きでたまらなかったのに。生きがいだったのに。
そんな生きがいも潰された。死ねる。
でも度胸のない私はその日はリスカを散々して終えるまでだった。
今日は生きる手綱が切れた、そんな日だった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!