ー日本歴 3000年、その時代には2021年代に生きていた人間のコピーが生活していた。コピーと言っても人格はある、性格や顔立ち身長なんかは寄せているものの、見てきたもの。触れてきたものによって少し違う。
発砲の許されたこの世界は、もうまともじゃなかった。常に争い、他人を踏んで自分が1番になろうとする。
「かあさん、かあさんッ!!!!」
「たく、や…にげなさい、ッ…」
「やだ、ッ!!とうさん、とうさんッ!!!」
「…」
「とうさん、へんじてよぉッ、!!!」
「お願い、たくや…かあさんか、らの…さいご、のおねがい…」
「かあさ、…」
「私をおいて、逃げてッ!!!!!!」
誰もきっと他人に興味が無いんだ、自分さえ生きられればそれでいい。少なくとも''僕''と、''彼''の周りはそうだった
「ねぇ、梅ちゃん」
「…なに、」
「お国の為に戦えって、意味わかんないや」
「…死ぬ時ぐらい、選ばせろよとは思うな」
いつだって誰もが自分が中心に世界が回ってると思ってる。少なくとも、''あいつ''と''俺''の周りはそうだった。
「ここ出たら、俺ステーキってもん食ってみたい」
「僕はハンバーグ食べてみたいなぁ」
「…出れんのかな、こんな分厚い壁越えて」
「…きっと僕が、梅ちゃんの手を引いて出してあげる」
みんな優しい顔をして嘘をつく、
誰かが傷つくなんて関係なくて、どうやって自分が有利になるかしか考えてない
「君はいつだって他人を信じすぎだw」
「君がまちがえさえしなければ、君の友人達は死ななかった」
「ッ、、…そんな、、ッ…」
「最悪の演奏会だなッ!!はははははっ!!!!!」
人は信じるものじゃない、使うものだ。
そう教えこまれた、そんなの嘘だってもう分かってる
「残念だったね、俺の勝ちだ」
「ま、ッまってくれ、、ッ!!この子だけは、この子だけは助けてくれ、ッ!!」
「…」
「まだこんなに小さい、0歳なんだッ!!お願いだッ…俺はいいから、ッ…」
「…じゃあね」
バンッ!!!!!!!!
「うわあああああん!!!」
「…」
美しいものは裏切る。いつもいつだって切り捨てる、手に入れてもそっと手と手間から溶けていく
「ッかなめ、ッ!!おきろ!!!!!」
「…ッ、…つば、さ…」
「今起きないと、死ぬぞッ!!!!」
「ッ、も、いい……ぼく、を…おい、てっ、て…」
「は、…?」
「つばさ、…だ、けなら、…まだ、に、げられ、る…」
「嫌だ、ッ…そしたら、またッ……」
「これ以上、なに、も…うしなわ、ないように…ッ…逃げろ、ッ!!!!つばさ、!!!!」
美しいだけじゃ、誰のことも奪えない。
魅力だけじゃ、何も出来ない。
幼かった僕が、それを知る必要がどこにあっただろうか
「ッいやああああああ''''!!!!!!!!」
「あぁ、叫ぶ姿も美しい、ッ…!!美しい、…美しいよしょうたッ!!!!」
「おどうさま…やめ、で…」
「あぁ愛するしょうたッ!!いっそこの手に閉じ込めたいッ…!!!」
「いやだ、ッ!!いだい、いだいッ!!!!!!!!」
最初から最後まで俺は1人でいい
大人は、人間は、誰も信用出来ない
そう頭の中で解釈したのは確か6歳の時だったっけ
「だれか、…ごはん、、を…」
「あの子…都会であんなボロ布を…それにみて、裸足よ…」
「汚らわしい…近くを歩かないで欲しいわ…」
「…ッ…」
バタッ
「ま、ま…なん、で、…うそ、ついたの…」
まだ産まれたばかりの時、気がついたら2人は死んでいたらしい。覚えているのは殺された親の手の中にいる俺の頬についている返り血を、優しく布で拭いてくれた男の子の存在だけだった
「お前も俺も、1人だけだ…、もう、誰も頼っちゃいけない、」
「ぁう…」
「これ、お前の名前か…?はなえ…なつき、…?」
「俺は良平、木村良平だ、」
「…ひとりぼっちどうし、よろしくな、」
「花江夏樹」
妹のために生きてた。この子さえ笑っていてくれるならそれでいい。それじゃ足りない?駄目?何もわからなかった
「貴方はどうして妹に比べてそんなにも劣っているの」
「かあ、さま…」
「お姉ちゃんッ…」
「あぁ、もう!!遅いし下手くそなんだからッ!、」
ドンッ
「ッ…」
「ねえさま、ッ…!!」
「チッ…さっさと終わらさないッ!!」
守られて、褒められてばっかりだった
誰も私を攻めない。怒らない。
それが、私には1番怖くて嫌だった
「桃花、わたしだけをしんじて、」
「ねえさま…だけ…?」
「そう、わたしだけ…ももかを本当に守れるのは、私だけだから…」
「…ねえさまは、私をいっぱい怒ってくれる?」
「もちろん、これからもずっとももかを大事にする」
タッタッタッ
これは、
そんな時代に生まれてしまった私たち、
Actorsの話だ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。