もうすぐで私の家に着く。
"じゃーね"
そう言おうとした時、シルクが突然口を開いた。
突然話し出したかと思うと
肝心なところは言えない様子のシルク。
この場合、どうすれば…?
私は、取り敢えずシルクが続きを話してくれるのを待った。
·
·
·
·
·
·
訳が分からず戸惑いを隠せない。
そんな私の心を見透かしたように
話を続けるシルク。
そう言って隣の家を指差す。
少しずつ蘇る記憶。
"大丈夫?"
初めて男の子に優しくされた日。
それからは毎日一緒に遊んだっけ。
彼が引っ越してしまった時は、本当に寂しかった。
"すぐ戻ってくるから"
その言葉を信じて、1人で家の前で待ってた。
どうして今まで忘れていたんだろう?
小さい頃の記憶と、
また会えたことの嬉しさで
視界が歪む。
そう言いながら、抱きしめてくる。
幼い頃の温もりを思い出し、涙が溢れて…
やっと、それだけ言えたー。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。