第11話

屋上
781
2018/03/22 16:54
あなた

おまたせー

梨寧
…なんで呼ばれたか、
分かってるでしょ?
あなた

昨日のことでしょ?
なんでそんな怒ってるの?

梨寧
それは…!
シルクは私の彼氏なのよ?
あなた

おー、知ってる。

梨寧
それを知っててどうして一緒に帰ったりするの!?
あなた

だって向こうから誘ってきたんだし。

適当に流しつつ、初めてシルクと出会った時のことを思い返す。





この屋上で落ちそうになった時、シルクが助けてくれたんだよね…。
梨寧
ねぇちょっと!
聞いてる…!?
あなた

うーん。聞いてる聞いてる、

梨寧
聞いてn…って…
どこ行くの…!?
???
おいあなた!
お前ばかじゃねーの!?
誰かの声でふと我に返る。









目の前には柵。




あの日のことを思い返しているうちに、自然と足が向いていたようだ。
???
梨寧…
てめー、人殺すつもりか…?
梨寧
違っ…その子が勝手に…!
???
どう考えてもてめーのせいだろ!
言い争う2人。





それが誰なのかが分かっているから、
どうしても振り返ることが出来なかった。
???
だいたい、お前…私のシルク!
とか言ってるけど
それ、正直気持ちわりーから。
梨寧
あ、あなたには関係ない…!!


バタンッ





見なくても、怒って出ていった梨寧の様子が簡単に想像出来た。




二人きりの屋上。



気まずい空気が充満する。
あなた

なんで…来たの?
…しゅう。

しゅう
あの…朝、聞いてて…。
なんかあったら
助けなきゃって…思って…。
あなた

あんたに助けてなんて頼んだ覚え
ないんだけど?

しゅう
ご、ごめん…。
あなた

でも、まぁありがと。




今なら、こいつのことを許せるような気がした。



だから、わざと冷たく告げる。
あなた

あとさ。
昔のこと、もう怒ってないから。

しゅう
え。
ほんとに…?
あなた

うん。
許してやろーじゃねーの笑

しゅう
なんだその上から目線笑
あなた

そりゃあ、ねぇ?

しゅう
お前さ…
強くなったな。
あなた

全く、誰のお陰だか?

しゅう
その節は…
あなた

もういいって笑

しゅうのことを許したら、心につかえていたわだかまりが消えた。







ずっと恨んでたけど、一緒に笑い合ったら楽しかった。







屋上って、素直になれる。
なんだか不思議な場所だー。

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