適当に流しつつ、初めてシルクと出会った時のことを思い返す。
この屋上で落ちそうになった時、シルクが助けてくれたんだよね…。
誰かの声でふと我に返る。
目の前には柵。
あの日のことを思い返しているうちに、自然と足が向いていたようだ。
言い争う2人。
それが誰なのかが分かっているから、
どうしても振り返ることが出来なかった。
バタンッ
見なくても、怒って出ていった梨寧の様子が簡単に想像出来た。
二人きりの屋上。
気まずい空気が充満する。
今なら、こいつのことを許せるような気がした。
だから、わざと冷たく告げる。
しゅうのことを許したら、心につかえていたわだかまりが消えた。
ずっと恨んでたけど、一緒に笑い合ったら楽しかった。
屋上って、素直になれる。
なんだか不思議な場所だー。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!