クラスでその話が出始めたのは、私たちが付き合うことになってから2週間も過ぎた頃だった。
シルクに振られた梨寧は、その後けろっと立ち直ったらしく今では普通に登校している。
もう気持ちが落ち着いたのか何も言ってこない。
全てが丸く収まって…
…ないみたいだけど。
シルクはクラスメイトに質問攻めされて大変だなぁ…
そう思っていると、
こっちもか…
そんなに落胆した顔をするな笑
この子たちをどうしたものかと困っていると…
いつの間に近付いて来たのか、
赤い顔のシルクが手を差し出す。
一瞬静まり返る教室。
躊躇いつつ手を握り、立ち上がる。
次の瞬間には歓声が上がったが、気にしたら負けだ。
なんともないフリをしつつも、顔が熱いのが自分でも分かる。
今度は二人同時に顔が赤くなる。
手を繋いだまま教室を出た。
言いながらほっぺをむにむにしてくる。
結局、家に着くまで手を繋ぎっぱなしだった。
手を離してくれない。
昔通った公園。
よく遊んでたアスレチックはまだあった。
シルクは、懐かしそうに登り始める。
1周終わって降りてくると、嬉しそうに言った。
言いながら、並んでベンチに座ったー。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。