ユンギの優しさを無駄にはできない。
わたしはポツリポツリと話し始めた。
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私には双子の弟がいる。
名前はテヤン。
幼なじみで同い年のジミン。
いつも3人一緒だった。
1年半前までは…。
私は小さい頃からピアノを習っていた。
おとなしかった私と正反対なテヤンは、
やんちゃでいつしかダンスに取り憑かれて…
中学に入ってからはジミンといつも踊ってた。
私のピアノが好きだとテヤンは言っていた。
でもいつも言うのは
「クラシックは難しい」
「何回聞いても覚えらんねぇわ」
それでも弾いているといつの間にか近くに来て聴いてるんだよね。
だからもっともっと上手になって、
もっともっと好きになってもらおうって思った。
うまく弾けなくて落ち込んでると
「あなた、大丈夫だよ」
っていつも声をかけてくれる。
いつもその一言でどんなに楽になったか…
私はいつもテヤンに守ってもらって、
助けてもらってばかりだったって、
あの日に初めて気付いたんだ。
何もテヤンのことをわかってなかった…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。