薄暗い写真部の部室には、
沢山の写真が剥き出しに飾られ
中には見覚えのある2人も写っていた。
5才の記憶なんてそんなもんかって、
全部覚えていたいと思ってたから──
ちょっとしょげそうになった。
いくつか額に飾られた写真があり、
その中の1つに目がついた。
それを撮ったのが誰かなんてすぐにわかる。
青葉がどうしてここにきたのか
きっとそれは、美空姉ちゃんを探すため。
ここに来れば、
面影に出会い、聞こえない声を
鮮明に聞くことができる。
それが思い出の場所。
私は、引き込まれるように
そっと写真を手に取った。
額の後ろに貼り付けられていた物が落ちた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。