第13話

13. 先輩のライバル①
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2018/02/05 10:53







「よし、くじをひけ〜」






はぁ、ドキドキするな…。

さっき、先輩に抱きしめられたのもあるからか、めっちゃドキドキしてる…。





周りが知らない人しかいなかったらどうしよ…。






「次、あなたの番よ」





桃果に言われて慌ててくじを引きに行く。


目の前にある割り箸を1本、
おそるおそる取る。





「……12」




なんと中途半端な数字なんだろう…。
前から2番目…そして廊下側…うーん…。




「……あ、あなたの後ろだ、私」




桃果もくじを引き終えたらしく、
私の数字を見て言う。


桃果と同じ…!
それならもう大丈夫な気がする…!




「あ、俺、幾田の隣だ」


「……奇遇ね」




……由真。

桃果の隣ってことは、

私の斜め後ろってことじゃ……。




「よろしくな、あなた」


「よ、よろしく……」




まあ、全く話したことない人よりいっか…。

それより、隣誰なんだろう…!




「全員引き終わったな〜、よし、席移動して〜」




先生が全員くじを引き終えたことを確認し、
机を動かせ、と合図する。


12番の位置に自分の机を移動させて、
隣が誰だか確認する。



私の席は一番廊下側だから、
左隣しか隣はいない。



前の席は……真面目な子。
特に苦手なタイプでもなく、
勉強を優しく教えてくれる女の子。


だから前の人は問題なさそう…。





「へぇ、隣はあなたちゃんかぁ」





隣の席の人…。

えっと……名前なんだっけ。




「俺、一ノ瀬遊佐(イチノセ ユサ)。よろしくねっ」



あぁ、そうだ…一ノ瀬くんだ。



「うん、よろしくっ」



必死に笑顔を作って挨拶をする。



一ノ瀬遊佐くん……。
確か由真と同じグループだったはず。

由真は割とクール、そして毒舌だけど、
一ノ瀬くんはどちらかというとチャラくて優しい系だった気がする…。



雰囲気通り、
由真は黒髪 軽く制服は気崩してるけどまあ指導されないレベル。
一ノ瀬くんは茶髪 だいぶ制服を着崩して、ピアスとかも身につけている。生徒指導も慣れてますって感じだ。



「あ、由真は俺の後ろか!」


「……うるさそ」



由真は一ノ瀬くんにも冷たいみたい…。




「で、右後ろが幾田さんね、あ、この間彼氏といるところ見たかも〜」


「…そう、よろしく」




桃果…若干、彼氏の話題が出て顔赤くなってる。

桃果にはたあくん(あだ名)という彼氏がいて、
この学校ではないけど、
ラブラブで順調らしい。




「あなたちゃん、俺馬鹿だから授業中いっぱい聞くかも」



確かに言っちゃ悪いけど一ノ瀬くんは頭悪そう…。

私の成績はクラスでトップではないけど、
そこそこならできるって感じ。



「う、うんっ、いっぱい聞いてね!」



私が笑っていうと、一ノ瀬くんも微笑んで「ありがと」と言った。




たくさん話せる人の隣ってわけじゃないけど、
まぁ、いい人そうだし大丈夫かっ。

桃果も後ろにいるわけだし…。




きっと楽しい学校生活を過ごせるはず。




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