第3話

3. 先輩と私②
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2018/02/01 07:22




ふふ、朝から神城先輩と話せたし、
神城先輩に誘われちゃったな…!

そう思い、ニヤニヤしながら教室に入ろうとした。


__________その時だった。




「なぁに、ニヤニヤしてんの?」





私の背負ってたリュックがグイッと引っ張られる。

……この声は。




「ゆ、由真(ユマ)…」



如月 由真(キサラギ ユマ) 。
いわゆる小学生の時からの幼馴染。

なのだけど、私はコイツはあまり好きではない。


なぜなら……



「朝から先輩と話して嬉し〜♪とか思ってんの?あなたとか相手にされないからムリムリ」



めっちゃ意地悪だからだ。

特に先輩のことになると、
めっちゃ私に無理だの、あいつはみんなと遊んでるだの意地悪してくる。




「由真には関係ないでしょっ」




そう言って教室に再び入ろうとした。

でも。



「ぐぇっっ」



再びリュックを強く引っ張られた。



「関係ないって何?無駄なことはやめとけって親切に教えてあげてるんだよ?」


「もう、由真しつこいっ!」



無駄なことって1番分かってるのは私だし、
由真には関係ないことだ。



「またそこ喧嘩してるの?ほら、由真。その手を離す」



パシッて音が聞こえる。



「あ、桃果(モモカ)!」



正義のヒーロー登場。
ではなくて、幾田桃果(イクタ モモカ)。

私のクラスで1番話す女の子、
1番最初の席が桃果の隣だったから、という理由で仲良くなった。




「いっ…てぇ、幾田何すんだよ」




案外、桃果は由真の手を強く叩いたみたいで、
由真の顔は少し歪んでた。



ふっ、ざまぁみろっ!




「そんなことしてると余計あなたに嫌われるわよ?」




『別に嫌われてもいいし』って由真は言いそう。

って思ったのだけど…



「チ…」



軽く舌打ちをして自分の席に行ってしまった。



「あー、単純すぎて面白い」

と桃果はケラケラ笑ってる。




由真は桃果と話す時弱くなるよなぁ。
私にはあんな威張ってるのに…、
私も桃果ぐらい強くなればいいのかな。





「桃果~さっきはありがとお!」



一応お礼を言っておく。

桃果は少し呆れたような笑顔で、




「どういたしまして」


と言った後に「でも少し由真には可哀想なことしちゃったかなぁ」って呟いた。






あんな意地悪野郎にはあれくらいが妥当!

そう思って、私は由真の手が離れたおかげで軽くなったリュックを背負いながら自分の席についた。













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