「このパフェ美味しそう…」
「あなた、食べに来たんじゃなくて私達は遠足の買出しに来たのよ」
「…そうでした」
ついつい美味しそうなものに目移りしてしまう。
そんな私の様子を見て、遊佐はクスッと笑った。
「あなたちゃん、甘いもの本当に好きなんだねっ」
「うん、大好きっ」
甘いものは本当に美味しいっ。
そう思って遊佐を見ると、
遊佐の表情が少し固まっていた。
……あれ、なんか変な事言ったかな。
「あ、あぁ、美味しいもんねっ」
少し間をあけて返事する遊佐。
なんか考え事でもしてたのだろうか。
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遊佐side
「うん、大好きっ」
自分に言われたわけでもないのに、一瞬ドキッとしてしまった。
…甘いものが大好きなんだよね、
……甘いものがっ。
そんな俺の態度を見て、
幾田は「確定ね」と言った。
どうやら俺があなたちゃんのことを好きなのを分かったらしい。
……由真も薄々気付いてはいると思う。
由真は、何人も俺の他の女への態度を見てきたから。
だけど何故か気づいてない…と言うよりは、
気づかないフリをしてるというか。
由真なりの思いやりなのだろうか。
それとも_____
「ほんと、あなたは食い意地が強いよな。本当に女なん?」
「それ、めっっちゃ失礼!」
「あー、ほらほら喧嘩しないの、2人はいつもそうなんだから」
由真とあなたちゃんの距離って近い気がする。
幼なじみ…らしいけど、
由真が女とワイワイしてるのはあまり見ない。
何人か俺と関係を切った女が、
由真にアピったらしいけど効果はなかったらしい。
…考えすぎか。
「由真も少しは遊佐の優しい所見習った方がいいよっ」
「あ?遊佐は俺より全然腹ぐr__ムグッ」
話の流れで俺のことを喋り出す由真の口を慌てて塞ぐ。
できれば、俺の悪いところはあなたちゃんに知られたくない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。