第33話

33.勝ち目あり?否。③
942
2018/04/22 11:34





「あなたちゃん、俺はそんなに優しくないよっ」




苦笑いして言う遊佐。

いつも優しいとか言うと、否定するけど、
絶対遊佐は優しいと思うのにな…。




「ほんと抜かりないよな、遊佐は…」


「その言葉、そのまま由真に返すよ」




遊佐と由真が2人で話してる隙に、
私と桃果はテキトーに色々見に行った。



……あ、このリボン可愛い。

遠足とは関係ないけど、
結構可愛いリボンを見つけた。




「ねぇ、桃果、これかわい……あっ」


「…?」




後ろにいるのは桃果だと思ってたけど、
振り向いたら全く違う男の人だった。



「えっと、人間違えしました…」


「あはは、大丈夫だよっ」



優しそうな男の人でよかった…。

そう思ってその場から立ち去ろうとした、
__________その瞬間。



「これも一種の運命ってやつじゃない?」



男の人にグッと腕を掴まれた。



「えっ…あの…」

「いいからいいから」



_____全然良くないっ。
ただ間違えて話しかけたのが運命な訳ない。


とりあえず手を振りほどこうと思うが、
なかなか力が強くて振りほどけない。


このまま連れていかれるのはまずい…。




「あれ、あなたちゃん。その人と知り合い?」


「……遊佐っ」




良かった、危うく連れていかれそうになった…。



「知り合いなのっ?」



もう1回私に聞いてくる遊佐。

いや、この態勢と言いこの私の表情。
明らかに知り合いだったらおかしい。



「…知り合いじゃない」


「…そっか、じゃあ…」



遊佐はゆっくり男の人の方へ近づき、
男の人に私に聞こえないくらいの声で何かを言った。


それと同時に男の人はなんとも言えない顔で、
私の手を離しどっかへ消えてしまった。



「えっと…、遊佐ありがとっ」



どうやって解決したのかは分からないけど、
助けてくれたことに変わりはないからお礼を言う。


「あなたちゃん、あーゆーのに捕まっちゃダメだよ」



捕まりたくて捕まった訳でもないけど…。



「…そのリボン欲しいの?」



あ、そういえば、リボン握りっぱなしだった。
桃果に見せようと思ったのに、
桃果いなかったなあ。



「可愛いとおもってっ」


「そっか、ちょっとそれ頂戴。」


「うん?」



遊佐の手にリボンを置く。

遊佐はそれを手に取ると、
「ちょっと待ってて」と行ってどっかいってしまった。




プリ小説オーディオドラマ