第25話

25. 奪い愛④
1,012
2018/03/14 16:55





「遊佐、まじでこいつの怖がりは異常だぞ」



「……そんなことないっ」



「怖がりの女の子の方が可愛いじゃんっ」





確かに自分の怖がりっぷりを見られたら、
流石の一ノ瀬くんも引くかもしれない。




「……さっき、一ノ瀬はあなたを守るって言ってたけど、一ノ瀬には彼女いないの?」



桃果が私たちの間を割って聞いてきた。
確かに……。
一ノ瀬くんって彼女いそうだけど…。



「あ、俺?いないよ」



……意外っ。
結構女慣れしてるからいるかと思ってた。



「あー、でも。好きな人はいる」




一ノ瀬くんは何故か私を見て優しく笑った。
一ノ瀬くんの好きな人かぁ。
……やっぱり歳上のお姉さん系なのだろうか。


そういえば翔先輩ってどんな女の子がタイプなんだろう。



「……遊佐、好きな人いたん?」



由真が驚いた顔をして一ノ瀬くんに問う。
由真も一ノ瀬くんの好きな人知らなかったんだね…。




「うん、まぁ片思いなんだけどね」



「……本気かよ」



「本気」




由真と一ノ瀬くんが淡々と会話している。




「……今までの女は?」


「全部別れ告げた。ってゆーか今ここであまり言わないでっ」


「あぁ、わり…」




…?
今までの女…?

一ノ瀬くんって結構いろんな人と付き合ってたのかな。

まぁ、そうじゃないとあんなに女慣れしないか…。




「メンバーが決まった班から班長が名前書きに来い~!」



由真と一ノ瀬くんの続いてた会話も、
先生の呼びかけで途切れた。


そっか、班長も決めなきゃなんだ…。
班長って結構集まりとかあるから、めんどくさいよね…。





「あー…班長とか俺、めんどくせぇからパス」

「俺もっ」

「私もっ」

「私もよ」



……やっぱりみんなやりたくないみたい。




「…ここはジャンケンだな」



由真が片手を出して言った。

ジャンケンなら公平だけど、
運すぎて当たらないか怖い。

でも話し合いとかじゃ決まらないしね…。




「「「ジャンケーンポンッッ」」































結局負けたのは一ノ瀬くんで、
一ノ瀬くんは渋々黒板に班のメンバーの名前を書きに行った。




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