無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第5話

第5話 事実は小説よりもドキドキなり
(なまえ)
あなた
マスター、いつもの!
店に入るなり注文すると、マスターは目を細めて軽くうなずいた。
賢人君は、すでにいつもの席にいる。
賢人
賢人
お前、すっかり常連面だな
(なまえ)
あなた
まぁね。けっこうな回数、来てるんじゃない?
賢人
賢人
迷惑極まりないことだ
(なまえ)
あなた
とか言っちゃって、今日も教えてくれるんでしょ?
賢人
賢人
この講義が終わらないと、静かな時間が取り戻せそうにないからな
さっそく原稿を取り出して、今日の小説講義を始めようとしたその時――。
???
すみません。さっき電話してテイクアウトの予約した者ですが……
ドアが開いて、お客さんが入って来た。
なんとなく、本当になんとなく、そちらに目線をやると――。
(なまえ)
あなた
さっ、サトル君!
サトル
サトル
あれっ。あなたさんじゃん
サトル君……サトル君と、学校の外で会えるなんて……。
サトル
サトル
このお店、よく来てるの?
(なまえ)
あなた
あ、あの、そうね。たまに……ここでお茶を飲む……かな
サトル
サトル
そうなんだ。ここ、評判いいらしいね。特にパンがおいしいって。親に頼まれて、初めて来たんだ
サトル
サトル
雰囲気もいいお店だね。小説をゆっくり読むのによさそう!
言いながらサトル君は、マスターから紙袋を受け取っている。
きっと中身は、パンなのだろう。
サトル
サトル
そちらの方は……?
サトル君が、賢人君に気が付いた。
あー……この場合、なんて説明したらいいんだろう。
(なまえ)
あなた
あはは、このお店の……その、常連仲間っていうのかな
賢人
賢人
……
サトル
サトル
へぇ。いつも通っているお店があるっていいね。あ、それじゃあまた!
サトル君は紙袋を抱えて店を出て行った。
会えると思っていなかったタイミングで、事故みたいにサトル君に会えて……。
私は、不思議な余韻に包まれて、彼が出て行ったドアをしばらく見つめていた。
賢人
賢人
なるほどねぇ。だいたい読めたぞ
(なまえ)
あなた
な、何が?
賢人
賢人
お前……あいつ好きだろ
(なまえ)
あなた
う、わ、私……別に……
賢人
賢人
お前はわかりやすすぎる。感情が全部顔と態度に出てるぞ。さっきの奴が鈍感なタイプっぽくてよかったな
賢人
賢人
で、俺が思うに……お前はあいつのために小説を書いている。違うか?
(なまえ)
あなた
う……
賢人君は、私に小説の書き方を教えてくれる大事な師匠。
こうなった以上、隠し通すっていうのも失礼だと思うし……何より、きっと私は隠し通せない。
顔と態度に出ているらしいし。
(なまえ)
あなた
実はね……
私は、小説を書くことになった経緯を賢人君に話した。
賢人
賢人
小説を書くきっかけが、まさか下心だったとはな
(なまえ)
あなた
返す言葉もないです
賢人
賢人
まあ……思っても行動に移せる奴はなかなかいないから、そこはあれだ。頑張ったんじゃないか?
あれ? 珍しく賢人君がフォローしてくれてる。
(なまえ)
あなた
サトル君は、作家のオオノ春美先生が好きなんだって。だから、私もその人みたいになりたいって思って……
賢人
賢人
オオノ春美……
一瞬、賢人君の顔が曇ったような気がした。もしかして逆に、あんまり好きでない作家さんだったかな?
賢人
賢人
とにかく、お前は講義が一段落するまで、結局ここに通うつもりだろ?
(なまえ)
あなた
うん
賢人
賢人
……仕方ないから、もう少しだけ付き合ってやる
(なまえ)
あなた
きっかけが下心でもいいの?
賢人
賢人
きっかけなんて何でもいいだろ。行動に移したなら
(なまえ)
あなた
ありがとう……
てっきり、幻滅したからもう教えないって言われると思った。
賢人
賢人
お前、さっき好きな奴に会って正直ドキドキしてるだろ?
(なまえ)
あなた
え? そりゃまあ……うん
賢人
賢人
だが、お前の小説はまったくドキドキするところがない
賢人
賢人
恋愛モノって言っているわりに、台詞や行動が淡泊すぎるんだ
(なまえ)
あなた
淡泊……かぁ
賢人
賢人
言われたらどきっとする言葉、されたらときめく仕草を取り入れろ
(なまえ)
あなた
言われたら……されたら……うーん、ごめん。私、デートとか恋愛とか経験ないから、ホントわかんない
賢人
賢人
映画や漫画で、そういう知識を吸収しなかったのか?
(なまえ)
あなた
映画、あんまり観ないの。眠くなっちゃって。漫画は……ギャグ4コマなら読むよ!
賢人
賢人
だめだ……どうしたらいいのか
後から思い返すと、この時の私はサトル君に会えたことで気持ちがたかぶっていたんだと思う。
早く小説を書けるようにならなくちゃ、って。
だからこそ、あんな思い切った提案ができたんだろうなぁ……。
(なまえ)
あなた
賢人君。お願い、私とデートして! 恋愛、体験してみたい!