_ モブ side _
そう言って微笑む彼に、クラス中の視線が集まる
何故か狐のお面…?を付けているが、口元だけは見えてるので表情が少しは分かる
そう、口元から漂うイケメンオーラに私達は圧倒されている
これは当たりかもしれない…なーんて…
土蜘蛛君が何やら難しい顔をしている
私は思わず声を掛けた
そう言って私が差し出したのはメロンパン
おやつに食べようと思ってたけど…
ぱぁっと顔を明るくさせてこちらを見る土蜘蛛君に思わず胸がキュッとなる
……好き、かもしれない…
はぁ〜……自覚したからかな、土蜘蛛君が笑うだけで顔が赤くなる…
カッコイイなぁ……
屋上のフェンスの前でケラケラと笑いながら紫煙を吐き出す彼は、今にも壊れそうな儚い雰囲気を醸し出している
そんな彼の横ではぁ、と溜息を吐いている青年は、ふと屋上の扉の方へと顔を向けた
そう言って半間が咥えている煙草に俺の煙草の先を押し付ける
所謂シガーキス、とやらだったか?
まぁ、なんでもいいが
ライターでも借りるつもりだったのか、驚いた顔をした半間に思わず笑いが零れた
煙草を左手に、右手で顔を抑えて溜息を吐きながら座り込む半間
ちらりと見えた耳は真っ赤になっていた
俺は物語の人間の様に鈍感では無い
それが何を表しているかは分かっていた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。