おいおいおいおい、最初から仕掛けてくるか?
牛島サーブ。
そんでもって、目でしっかりロックオンされてんのよ。
「お前が上げろ」って。
私女の子なんだけど。
こんの貧弱な腕でサーブレシーブできたら、全人類牛若だよ(?)
待って、勝手に話してる。
私の意志とは関係なく(?)
太一助けて…
違うんだよそこじゃねえだろ。
そんなことを考えているうちに、ホイッスルが鳴り響いて牛若サーブがとんでくる。
烏野のみんな、私は体を張って牛若のサーブを体感してきます。
この感想がみんなの役に立ったらいいな。
最も、生きて帰れるか分かりませんが。
こんな敵の勢力を自ら体感するようなマネージャー、絶対いないけど、うちのマネ最高で最強って言われるくらい、
腰を低くおとした状態で、前腕でバッとボールを弾くと、自分の体が後ろに傾き、一回転したんじゃないかってくらいぐるぐる回った。
ネットを超えそうなボールを、すんでのところで川西がセットアップをしようと必死にジャンプしている。
「トスなら任せとけ!」
いいじゃん、いい根性してるじゃん!!
引っ転げてすごい体勢をしていたが、急いで起き上がり、ボールまでかけだす。
そう言って、シンクロ攻撃を促す。
できるはずなんてない。
敵を撹乱させるには十分だ。
そうして、敵が慌てふためく中藍原のバックアタックが勢いよく弾かれる。
藍原は元ウィングスパイカー。
スパイクのバリエーションも、割と豊富なのさ!
左足から地面にタッと着地。
ニヤリ、笑みがこぼれた。
そう言うと、こめかみを伝う汗をそっと右手の甲で拭った。
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先制点を取って、勢いがついた藍原達のチームは続けて3点を取ったが、強烈なスパイクに為す術もなく打ちのめされる。
時折、向こうのミスで点を稼ぎ、サーブ権を奪うことで点を伸ばせてはいるが到底及びそうもない。
今では8対17とかなり点差をつけられていた。
稚拙・・・技術や作品が下手で子供っぽいこと。
は?何を言い出すんだろうこの人は。
怪我をして、仲間を失って以来、いつだって自信なんてものに頼ったことは無い。
それに、自分の技術に自信をもてないままバレーを遠ざ2年以上もの月日が経ってしまった程だ。
そうそれは、捕食者の目。
王者牛若さえも黙らせる、威圧的な目だった。
決して覆ることなどないだろう、と誰もが思う現実を、藍原なら変えてしまうのではないかと錯覚させられるくらいの気迫。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。