第83話

悔やしさはバネになる?
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2021/08/02 07:53
それにしても相手のサーブが強い。


一撃が重くてうまくレシーブできない1年生に変わって、レシーブを受け続けたせいか膝が軋む。


怖いとかなんとか言ってられない。私がカバーすると決めたからには、私の仕事はきっちり熟
さなくては…!!


そして私はいい音を響かせて、ボールを高く高く上に上げた。


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白戸女子の女バレ部員
明さんっ!!
来る。明のスパイクが来る。
あなた
来るよ!!!
目を瞑って助走してきて、高く高く飛び上がった瞬間、明は私の方を見てニヤッと笑ってからあの頃より何倍も威力の強いスパイクを打ち付けてきた。
目が合った。


目を開いていた。


明がボールを見て、ちゃんとボールに合わせて腕を振った…?


私の出来なかったこと。


ただただ悔しかった。
とりあえず上に上げたのはいいものの、1発で向こうに返ってしまった。
白戸女子の女バレ部員
チャンスボール!!
そして1本、決められてしまった。
橙野明
ちょっとネット近いから打ちにくかったヨ。
あなた
嘘…!
白戸女子の女バレ部員
私も修正するようにしますけど、橙野先輩もスイングもっと早くしてください。
私は、いつも自分さえ修正すればいいと思っていた。


違った。


明の力をダメにしてたのは、私。
白戸女子の女バレ部員
できちゃったみたいです。あなたにできなかったことが。
あなた
…っ…!
悔しかった。その悔しさでぐちゃぐちゃになりそうな自分を奮い立たせてなんとか戦った。

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試合に勝って、勝負に負けた。


そんな気分だった。


膝は軋むし、悔しい思いばっかりだし、やるせなくて仕方がない。
橙野明
やっぱしあなた強かったヨ。
あなた
そんなことない。
橙野明
ううん、そんなことある。だから、負けないで。
明に背中を押されるようにしてコートを出た私は、チームメイトと勝利を喜び合うこともせず、いそいそとトイレに駆け込んだ。

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