遠巻きに見たことある顔が2人。
そしてそんな中喧嘩を始める田中と、田中に似たような頭してる人。
喧嘩する坊主組を宥める菅原と音駒のちっさい人。
1年生かな。なんて考えながら横を通り過ぎて行くと、「はぅあっ!」と奇声を上げる田中似の人。
清水が頭を下げたのを見て、釣られて数秒遅れて頭を下げる。
そう言うとそのまま逃げて行ってしまった。
名前はどうやら猛虎さんと言うらしい。
後でご挨拶の一つや二つしてやりますか。
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結局試合で音駒から1セットもとることはできず終わってしまった。
ジャージの袖を後ろからクイッと引っ張られ、そちらに視線を移すと、「片付け始まる前に1本だけお願いします」という孤爪がいた。
いつにも増して闘志を燃やす孤爪になんだなんだと集まり出す音駒のメンバー達。
そうしてコートに音駒のメンバーが全員立ち、誰も拾えなかったら藍原の勝ち。逆に、拾った人には何か要望を叶えるという特殊ルールが付いた。
セコムが働いた。
「まじかよ」と口々に騒ぎ出す音駒高校の部員達。
その動揺の隙にサッと飛び上がってジャンプサーブを打つと、すぐさま冷静になったのは夜久、黒尾、孤爪の3人。
残りのメンバーは藍原の気迫に気圧されたり、ジャンプサーブの威力に驚いていた。
腕にボールが当たったものとは思えないような音が響き渡るが、そのボールはこちらへ戻っては来ず、壁に当たって床に転がる。
夜久衛輔。ボールを拾うことこそできなかったが、腕に当てることはできた。
東峰のスパイクに触れられただけあるな。
と1人感銘を受けていた。
「でも俺拾えてないし…」と断ろうとする夜久のことなど全く気にせず、ジュースくらい買うお金はあるか。と所持金の心配しかしていない藍原。
しばらくして、決まった?という表情を浮かべている藍原に向かって、顔を赤らめながらぼそっと夜久は呟いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。