夜ご飯を食べながら突如始まった進路の話。
半分冗談、でも半分本気。
岩泉に頭を小突かれながら「本当は?」と聞かれる。
人の家で普通にくつろぐ藍原と岩泉。
のんびりと話をしているが、実はもう9時を過ぎている。
「はじめはどうするの?」
と聞こうとしたとき、及川の部屋から物音が聞こえたため、2人で駆けつけようとしたが、あなたは先に風呂行ってこいと促された。
心配もあったが、今は岩泉の方が及川をなだめるのに適しているかもしれない。とお風呂場へ向かった。
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お風呂から上がり、リビングに岩泉がいないのを確認すると及川の部屋をドアの隙間から覗きながらそう伝える。
もう時間はかなり遅いし、及川の家と岩泉の家も近いことからお風呂へ行くよう提案した。
実際のところ、1人で及川の面倒を見るのが怖く、岩泉にいてもらった方が安心するというのもあったのだが、それは内緒である。
眉間に皺を寄せて苦しそうに眠る及川の枕元にそっと腰を下ろし、額に手を当てては頭を撫でる。
それを何度か繰り返したところで、及川が目を覚ましてしまった。
時計の秒針が時を刻む音だけが部屋に虚しく響く中、起こしてしまったことに罪悪感を抱く。
そう藍原が口にすると、ぼんやりとした表情のまま上半身をそっと起こし、及川は藍原の頬に手を添えた。
その添えられた手から熱がまるで伝染するかのように藍原は頬を赤く染める。
最後まで話終える前に、肩を強く掴まれて床に押し倒される。
彼の目線は、放課後に付けられたキスマに向いている。
痛々しい内出血の痕。
お風呂へ入って絆創膏はすっかりとれてしまっており、今はモロだしなのだ。
獲物をしとめた肉食獣のように瞳を妖しく光らせ、その瞼から涙を零す。
人の話など聞かないとでも言うかのように、その痕に唇を当てられたため、吸われる覚悟をするが、歯を立てて噛み付かれたため急な痛みに思わず声が漏れる。
そろそろ本気で寝かせないとまずいと悟った藍原は、覆い被さる及川の両肩を掴んで突き放そうとした。
がその抵抗も虚しく、及川の手で両手首を頭上に押さえつけられてしまう。
強引に唇を奪われ、離すと舌なめずりをしながら及川は藍原の服を脱がせていき、至る所に噛み跡やキスマをつけていく。
及川が熱で話の通じる状態に無いこと、藍原の首筋にキスマが付けられていたこと、最近藍原は及川からのそういう誘いを断っていたこと。
それらの条件が同時に重なってしまったことで及川の暴走を招いてしまった。
こうなってしまったのも全て元をたどれば自分のせいなのだと藍原は抵抗をやめ、ただ体を預けると、静かに涙を流した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。