徹風邪引き事件から1週間。
藍原は今まさに、白鳥沢学園高校の正門をくぐろうとしているところだった。
時は遡り約2週間前のこと、覚えていますでしょうか。藍原隼人のことを。
引きこもりゲーマーの彼から藍原が課せられた任務は、彼の通う白鳥沢学園高校に1日でいいから代わりに行ってほしいとのことであった。
まあ土曜日だし、部活も休みだし、と割り切っていたが、学校へ行く前日になってその真の企みを知ることとなる。
【前日 金曜日19:28 藍原宅にて通話 】
隼人『もしもし姉ちゃん?明日、体育服さえあればいいから。』
隼人『明日球技大会。』
隼人『うちの球技大会さ、男子はバレー、女子はサッカーって決まってんの。』
隼人『いや、今やってるゲームの特別ダンジョンが今日までなんだけど、父さんが球技大会でみんなと打ち解けなさいとかなんとか言ってうるさいから仕方なく。』
隼人『いいよ。姉ちゃんがかっこよく決めてくれればあわよくば人気者に…あ、今のなし。』
隼人『期待してるぜ。』
こういった経緯で白鳥沢学園高校に行くことが決まったのであった。
【土曜日 5:30 藍原父の実家前にて】
久々に見る弟、髪は藍原より少し長く、背は藍原より少し高く、声は藍原より少し低い。
目は藍原より少し細くて、鼻は藍原より少し低い。
髪は藍原と同じくらいきれいな黒髪。
どれもこれも僅差。
テンションも似たような感じだし、まあ乗り切れるっちゃ乗り切れる。
よし行こうか。
いざ白鳥沢学園高校へ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。