第54話

行くぞ白鳥沢学園高校
6,609
2021/01/29 14:00
徹風邪引き事件から1週間。


藍原は今まさに、白鳥沢学園高校の正門をくぐろうとしているところだった。


時は遡り約2週間前のこと、覚えていますでしょうか。藍原隼人のことを。


引きこもりゲーマーの彼から藍原が課せられた任務は、彼の通う白鳥沢学園高校に1日でいいから代わりに行ってほしいとのことであった。


まあ土曜日だし、部活も休みだし、と割り切っていたが、学校へ行く前日になってその真の企みを知ることとなる。
【前日 金曜日19:28 藍原宅にて通話  】
隼人『もしもし姉ちゃん?明日、体育服さえあればいいから。』
あなた
え?授業は?
隼人『明日球技大会。』
あなた
ちょ、ちょっと待ってよ。どういうこと?
隼人『うちの球技大会さ、男子はバレー、女子はサッカーって決まってんの。』
あなた
まさかこのタイミング狙って…
隼人『いや、今やってるゲームの特別ダンジョンが今日までなんだけど、父さんが球技大会でみんなと打ち解けなさいとかなんとか言ってうるさいから仕方なく。』
あなた
はぁ、本気出していいの?
隼人『いいよ。姉ちゃんがかっこよく決めてくれればあわよくば人気者に…あ、今のなし。』
あなた
魂胆が見え見え。
あなた
仕方ない、打倒牛若。優勝してくるから待ってな。
隼人『期待してるぜ。』
こういった経緯で白鳥沢学園高校に行くことが決まったのであった。
【土曜日 5:30 藍原父の実家前にて】
藍原隼人
これ、俺の制服
あなた
来週から学校、ちゃんと行ってよ?
藍原隼人
分かってるし
藍原隼人
てか姉ちゃんさ、胸どうすんの。
あなた
おお、堂々セクハラ発言かい?
藍原隼人
だってこう…姉ちゃんのデカいし女だってバレるべ?
あなた
まあね。だから後輩のお姉さんにサラシ借りてきた。
藍原隼人
へえ、すげえ。
あなた
んじゃまあ、行ってくるね。
藍原隼人
あ、俺友達とかいねえし、周りも多分俺のこと覚えてねえだろうから好きにしていいよ。
あなた
おっけー。
久々に見る弟、髪は藍原より少し長く、背は藍原より少し高く、声は藍原より少し低い。
目は藍原より少し細くて、鼻は藍原より少し低い。


髪は藍原と同じくらいきれいな黒髪。
どれもこれも僅差。


テンションも似たような感じだし、まあ乗り切れるっちゃ乗り切れる。
よし行こうか。


いざ白鳥沢学園高校へ。

プリ小説オーディオドラマ