第55話

藍原って詰めが甘い
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2021/02/04 16:52
「おはよう」と皆が声をかけ合う中、藍原は肩で風を切るように正門をくぐる。
「見た見た?あんなイケメンいたっけ?」


「え、見たことない…何年生?」
おうおう、視線が痛い。
私は女だよ、イケメンって言われるのは少々気が引けるような…
隼人は2年5組の教室入ってすぐの1番前の席。


教室に入ってすぐさま、その席に腰掛けた。


周りの世界とシャットアウトするのに効果的なのは、ヘッドフォン。


そう教えてくれたのはノッポくん、もといツッキー。
「理由は知りませんが、僕が前に使ってたやつ貸します」と言って貸してくれたのだ。
素早くヘッドフォンをつけて、音楽をかける。
そうすると、どうやら隣の席らしい人が来た。


男女混合の名簿順ってことか。


藍原は「あい」だからそうそうの人がいない限り出席番号1番。
私の肩を掴んで何か話しかけているよう。
??
藍原、だよな…?
あなた
そうだよ。
顔を上げて、その人と目を合わせる。


思ったより背が高いな、約190cm…
あなた
あんたバレー部?
??
お、おう!
バッと立ち上がって興味津々と言った様子でその男の肩を掴んだ。
あなた
今日のチーム、俺と一緒のやつって誰がいんだ?
??
俺とお前、松田、西野、山村、田原の6人…つっても顔わからねえか、
あなた
バレー経験者は?
??
俺だけだな。藍原は?
あなた
経験者。
あなた
セッターの経験は?
??
いや、俺はミドルブロッカーだから、セッター経験はねえな。
あなた
そうか。それで、名前は?
??
川西太一。
あなた
よろしく太一。藍原隼人だ。
案外うまく行くもんだ。


入れ替わりちょろいぜ。
あなた
ちなみに今日のセッターなら、.に任せな。
川西太一
おう!…ん?!
あ、前言撤回。


きっといつかボロが出る。
あなた
悪い、間違えた。
川西太一
一人称間違えることあんのか…?
あなた
少し家の事情で、丁寧な言葉遣いをするように言われていてな。
川西太一
そ、そうか。
あなた
今日は頑張るぞ。
川西太一
おうよ!

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