はだけたシャツのボタンを留めながら4人にお礼を言う。
澤村に首根っこを掴まれている岩依澄は、元々気が強い方では無いらしく、現れた4人に恐怖し気絶していた。
藍原に覆い被さっていた岩は田中に殴り飛ばされ、身長約190cmの月島にゴミを見るような目で見下ろされ、目のすわった澤村に笑顔で声をかけられ、東峰に「君名前は?」と尋ねられた途端、あまりの迫力に気絶した。
とりあえず首筋に付けられた痕を手でさすりながら隠していると、月島は顔を背けながらそっと絆創膏を手渡してきた。
藍原のその言葉に何やら不満そうな月島。
1番仲のいい山口からツッキーと呼ばれていることを思い出し、それでいいかと確認を取ると、顔を少し赤らめて「お好きにドウゾ」とのことであった。
と言うことで、岩依澄くんを武田先生の元へズルズルと運んで行き、藍原達は遅れて部活に合流したのであった。
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部活が終わり、家への帰路を辿っている最中も、首筋がヒリヒリと痛んでたまらない。
キスマを付けるのに慣れている及川と違ってきっと彼は初心者。
綺麗な内出血では無く、なんとも痣のようになっていて道理で痛いはずだ。
はあ…と大きなため息をついて、家の玄関の扉を開けた。
それと同時に鳴り響いたのは、藍原の携帯だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。