第30話

藍原基本他人をあだ名で呼びがち
8,599
2020/12/09 20:45
その中の1年生が「あー!!」と声を上げる。
1年生
何年か前の月バリに載ってましたよね?!全国No.1セッターって!
あなた
そんな昔のやつ覚えてくれたんだ、ありがとう。
そう言って微笑みかけると、恥ずかしそうに顔を伏せ、「いえ…!」と照れ気味にそう答えた。
木葉秋紀
木兎は5本の指だけど、あなたちゃんは3本の指か〜、それも頂点。
木兎光太郎
おおい!やめろぉお!!
木葉の発言にすかさずツッコむ木兎。
そのやり取りに部員たちは声を上げて笑った。


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木兎光太郎
俺の必殺技だあ!
フェイントか…


チビちゃんがこれできたら強いべ。


なんてこと考えながらノートに次々と書き加えていく。


メンバーで6対6の試合ね、
梟谷、やっぱり強豪校なだけある。


とりあえず光ちゃんバカかっこいいなオイ。
あれ、光ちゃん決まらなくなってきた…
木兎光太郎
今日はもう…俺に上げんなっ…!!
赤葦京治
あなたさん、良いです?
藍原の絶対打てるトスを赤葦にお願いされ、急遽コート内に入り、赤葦の代わりにセッターを務める。
木葉秋紀
皆気をつけてけよ〜?あのいとコンビやべーから。
あなた
あっきー、いとこコンビを略さないでダサい。
木葉秋紀
ダサいは悲しいぜ〜?
ネット越しに木葉と話し、背中に回した右手の人差し指をクイクイっと曲げてサーブを打つよう促す。
正式な試合じゃこんな手使えないんだけどね。


セコい手使うって思われたって構わない。


これが私のやり口よ。
1年生
木葉さんっ!
あなた
わ、上げた。
こっちに返ってきたボールを赤葦がレシーブし、藍原の頭上にキレイに帰ってきたボールを木兎が飛ぶ位置、場所など全て正確に把握した上でボールを手元にきっちり届ける。
さあ光ちゃん出番だよ。
パァンっ


反対側のコートの床にめり込むんじゃないかと思われるほど強いスパイクが打ち込まれ、皆の視線が一気に集まる中、木兎の雄叫びが響き渡る。
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赤葦京治
今日はありがとうございました。明日は何時に帰られるんです?
あなた
明日は…
木兎光太郎
もう帰んなあなた〜〜っ!
木葉秋紀
俺も帰ってほしくないな〜!
赤葦京治
あなたさんを困らせたらダメですよ。
あなた
そうだよ。とりあえず明日3時半に向こうに着くように帰ろうかなとは思ってる。
木兎光太郎
明日丁度午前練だしサーブでも打ってもらうか!
木葉秋紀
あれレシーブしたら腕痛いんだよなあ
あなた
頑張れあっきー。
小見春樹
どうか藍原さんと同じチームでありますようにっ!!
あなた
おおリベロ。
あなた
明日待っててよ春ちゃん。
小見春樹
頑張ります(泣)
木葉秋紀
んじゃ、また明日ー!
あなた
ばいばーい。
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木兎母
わあああなたちゃん久しぶり〜〜元気だった〜〜?!
光ちゃんママはめっちゃ思いっきし抱きしめてくる。
あなた
いつも急にごめんなさい、
木兎母
いいのいいの!今日はどうしたの?また喧嘩した?
あなた
実は、、
と親が離婚の危機に至りそうな経緯を話した。
木兎母
めぐむ(藍原母)ととおるさん(藍原父)離婚の危機?!
木兎母は、藍原母の1つ年上のお姉さん。


夜ご飯の準備をしながら困ったもんだねえと頭を抱えている。
木兎母
あ、光太郎!今日はあなたちゃんいるから先にお風呂入んなさい!
木兎光太郎
おー!
悩んでても仕方ないし、光太郎の部屋に荷物置いておいで!と明るく振舞ってくれる木兎母ほんとに良い性格してる。
そんでちなみに、、
お風呂上がりの光ちゃん最高。


髪下ろしてるの控えめに言って色気やばい。


まっちゃん松川の72倍ぐらい。
残業多めの木兎父を置いて、先に夜ご飯を食べ、お風呂を済ませた後は光ちゃんの部屋でお菓子食べるのが恒例となっている。
木兎光太郎
そういやあなた、男バレのマネージャーだったっけか?
あなた
あ、そうそう。しかもね、次のインハイ予選に女バレの助っ人で出ようかなって考えてる。
木兎光太郎
靭帯やらかしてからマジで消極的だったのにな〜、なんかあったか?
あなた
彼氏に煽られてさ、なんか闘争心燃えたよね。
木兎光太郎
ははっ、あなたらしーっちゃらしーな!
せっかく梳かした髪をグシャグシャと乱暴に撫でる木兎。


壊れ物を扱うように優しく撫でる及川とはまた違った良さがここにある。(浮気じゃないです)
藍原が泊まりに来た時は、木兎が床に布団を敷き、ベッドは藍原に譲ってくれるため、快適に寝させていただいている。


なんなら藍原が来た時のことを想定して2段ベッドにしようかという話も持ち上がっているらしい。


なんて受け入れられているのだろう。


木兎家優しいな。
自分家との違いを思いながら布団に転がっていると、新幹線での数時間の旅が体に応えたのか、いつの間にか眠ってしまっていた。

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