その中の1年生が「あー!!」と声を上げる。
そう言って微笑みかけると、恥ずかしそうに顔を伏せ、「いえ…!」と照れ気味にそう答えた。
木葉の発言にすかさずツッコむ木兎。
そのやり取りに部員たちは声を上げて笑った。
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フェイントか…
チビちゃんがこれできたら強いべ。
なんてこと考えながらノートに次々と書き加えていく。
メンバーで6対6の試合ね、
梟谷、やっぱり強豪校なだけある。
とりあえず光ちゃんバカかっこいいなオイ。
あれ、光ちゃん決まらなくなってきた…
藍原の絶対打てるトスを赤葦にお願いされ、急遽コート内に入り、赤葦の代わりにセッターを務める。
ネット越しに木葉と話し、背中に回した右手の人差し指をクイクイっと曲げてサーブを打つよう促す。
正式な試合じゃこんな手使えないんだけどね。
セコい手使うって思われたって構わない。
これが私のやり口よ。
こっちに返ってきたボールを赤葦がレシーブし、藍原の頭上にキレイに帰ってきたボールを木兎が飛ぶ位置、場所など全て正確に把握した上でボールを手元にきっちり届ける。
さあ光ちゃん出番だよ。
パァンっ
反対側のコートの床にめり込むんじゃないかと思われるほど強いスパイクが打ち込まれ、皆の視線が一気に集まる中、木兎の雄叫びが響き渡る。
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光ちゃんママはめっちゃ思いっきし抱きしめてくる。
と親が離婚の危機に至りそうな経緯を話した。
木兎母は、藍原母の1つ年上のお姉さん。
夜ご飯の準備をしながら困ったもんだねえと頭を抱えている。
悩んでても仕方ないし、光太郎の部屋に荷物置いておいで!と明るく振舞ってくれる木兎母ほんとに良い性格してる。
そんでちなみに、、
お風呂上がりの光ちゃん最高。
髪下ろしてるの控えめに言って色気やばい。
まっちゃんの72倍ぐらい。
残業多めの木兎父を置いて、先に夜ご飯を食べ、お風呂を済ませた後は光ちゃんの部屋でお菓子食べるのが恒例となっている。
せっかく梳かした髪をグシャグシャと乱暴に撫でる木兎。
壊れ物を扱うように優しく撫でる及川とはまた違った良さがここにある。(浮気じゃないです)
藍原が泊まりに来た時は、木兎が床に布団を敷き、ベッドは藍原に譲ってくれるため、快適に寝させていただいている。
なんなら藍原が来た時のことを想定して2段ベッドにしようかという話も持ち上がっているらしい。
なんて受け入れられているのだろう。
木兎家優しいな。
自分家との違いを思いながら布団に転がっていると、新幹線での数時間の旅が体に応えたのか、いつの間にか眠ってしまっていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。