②と③の展開を見たいという方のコメントがたくさん寄せられたので②と③の展開を書いていこうと思います。
たくさんのコメントありがとうございます♪
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謙杜が意識を取り戻す、ほんの少し前――。
病室の重い扉が、静かに閉まった。
廊下の白い光が、やけに冷たく見える。
和也は数歩進んだところで足を止めた。
震える手を壁につき、そのまま崩れ落ちる。
声にならない息が、喉から漏れる。
拳で床を叩く。
何度も、何度も。
病室で必死に耐えていた涙が、堰を切ったように溢れ出す。
和也はいつも、誰よりも家族を見ていた。
小さな変化にも気づく、綺麗好きで、世話焼きで、口うるさいくらい優しい兄。
だからこそ、自分を許せなかった。
その背中は、小さく震えていた。
その後ろから静かに足音が近づく。
丈一郎だった。
何も言わず、しゃがみ込む。
そして、泣き崩れる和也の肩を強く抱き寄せた。
低く、震える声。
和也は首を振る。
その一言に、和也は息を詰まらせる。
丈一郎の声も、もう震えていた。
和也は、丈一郎の胸元を掴む。
ぎゅっと、さらに強く抱き締める。
廊下には、二人の押し殺した泣き声だけが響いていた。
弟たちの前では見せられない顔。
強い兄でいなければならない立場。
それでも今は、ただの兄弟だった。
和也の涙が、丈一郎の肩を濡らす。
丈一郎の涙も、和也の背中に落ちる。
その時。
病室の方から、かすかな慌ただしい気配がした。
二人は顔を上げる。
扉の向こうから、誰かの声。
「……兄ちゃん……」
一瞬、時間が止まる。
丈一郎と和也は、目を見開いた。
次の瞬間、二人は同時に立ち上がった。
泣き腫らした顔のまま、病室へと駆け出す。
崩れ落ちた夜の先に、かすかな希望の光が差し込もうとしていた。
96話に戻ります🔙













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。