あなたの下の名前視点
廊下にて
そう言って霧隠君が足を止めた教室の前には、
「正義のハッカー研究会」と書かれた看板があった。
ガラッ
寺刃くんを先頭に扉を開けると、中には…
何これ。すっごいキラキラしてるんだけど。
1人は楽しそうにメイクしてるし、
1人はパソコンの前でネイルしてるし、
1人はタピオカ飲んでるし、
1人はまたパソコンの前でスマホいじってるし。
唖然としてたら、スマホをいじってた子が振り返った。
玉田くんが笑顔で扉をピシャッっと閉めた。
玉田くん、姫川さん、寺刃くんが会話をしていると、小間くんが教室に向き直った。
するともう一度、寺刃くんが扉を開けた。
言葉が途切れたと思ったら、視線の先は三又義くんだった。
訳の分からないやり取りをしていたら、小間くんが前に出た。
ネイルをしている女の子が冷たく答えた。
また冷たく答えた女の子に、寺刃くんは勢いよく反論した。
…寺刃くん、何か後ろに下がっていってない…?
そして、寺刃くんに説明を投げられた霧隠くんが話し始めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!