第38話

まるっとスリッとゴリッとエブリシング
168
2021/07/05 16:36
(なまえ)
あなた
生粋の悪魔の平熱ってどれくらい?
ブラック
ブラック
人間とほぼ変わらないはずです、
(なまえ)
あなた
じゃあ高熱。解熱剤飲もうな。
体温計の指す数字は39.2。何を1日ぶりに帰ってきたと思ったら。聞けばアカネちゃんと無人島サバイバル生活1泊2日をしたら風邪ひいたとか何とか。鬼ヶ島目指してイカダで出航したら沈没して漂流したらしい。バカじゃないのか。そりゃ海に晒されて暖も取らずに歩き回れば風邪も引くだろうに。海辺なら潮風だって強いし、夜は冷えるだろうし。一度回復したらしいが帰ってきたらぶり返したらしい。何やってんだか。このばかちんめ。
(なまえ)
あなた
アカネちゃんの体調は大丈夫なのか?
ブラック
ブラック
ええ、彼女、…げほっ、鬼、なの、でっ、
(なまえ)
あなた
あーごめんごめん、喋らなくていいよ。喉痛いな。
解熱剤と水を用意してベッドサイドに置く。体を支えながら起こしてあげると辛そうに唸り声を上げて。…切ない。代われるなら代わってあげたいくらいだ。いつも自信家な彼がこんなに弱々しく小さく見える。解熱剤を飲んだらまた横に寝かせる。熱のせいか目が潤んでいて見ているこっちが辛くなる。緩くなった冷感シートを外し溶けて柔らかくなった氷枕を取り替える。高くない?苦しくない?と確かめれば平気、と掠れた声で返された。
(なまえ)
あなた
もう…わざと遭難して人巻き込むからバチ当たったんだ。わかってんだからな。
ブラック
ブラック
、…お見通しですね、っ…ン゛ンッ、…
(なまえ)
あなた
伊達に恋人してないよ。ブラックのことはまるっとスリッとゴリッとエブリシングお見通しだから。
ブラック
ブラック
ト◯ック、見ました…?
(なまえ)
あなた
うん。面白かった(小並感)
どうせわざとイカダ沈めたんだろ。漂流してもその気になれば飛ぶなりテレポートなりして戻ってこれたくせに。面白半分でこんな事するからだ。自業自得。なんて、ここまで弱っている彼に言うつもりはないけど。息苦しそうに胸を上下させるブラック。手を取ると緩く握り返して。そういえば俺が熱出した時、ブラックが看にきてくれたんだっけ。解熱剤くれて、手を握ってくれて。今は逆の立場で同じ状況だ。なんて思ったら少しおかしくて笑ってしまう。流石に移されたくはないから唇にしたりはしないけど、額にそっとキスを落とす。あの時ブラックがしてくれたみたいに。
ブラック
ブラック
…冷感シート、じゃま、ですね、…
(なまえ)
あなた
文句言わない。治ったらたくさんしてやるから。
ブラック
ブラック
あなたが、熱、っ…げほ、出した時、…オレちゃ、…口にも、したのに、
(なまえ)
あなた
流石に移されたくないから俺はしないよ。その代わりつきっきりで看護するから。な?
ちゃんと布団かぶって寝ろ、首元まで布団を被せてやる。寝てればきっと時期に解熱剤も効くから。少し楽になってくれたら嬉しいな。1日でも1時間でも1分でも1秒でも早く…元気になって欲しい。家事をしようにも心配で片時も離れたくない。握り続けた手を頰を寄せる。元気になりますように、治りますように。ついつい祈ってしまうのは、きっと天使の頃の癖だろう。べる、とか細く呼ばれる。なぁに、と返せばすりすりと指の背で頰を撫でられて。
ブラック
ブラック
お願いを、…聞いて欲しいのです。オレちゃんが、…、早く元気に、なるコト、
(なまえ)
あなた
何だろ、教えて。
ブラック
ブラック
、…ナース服、か、白衣でっ、…看病を
(なまえ)
あなた
却下だ。はよ寝ろ。
心配して損した。洗濯物干そ。

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