悪魔というほど性格ひん曲がってませんけどね。ってうるさいわ。というか、自分が性格ひん曲がってる自覚あるんだな。当たり前だろ俺は生まれも育ちも天界のお坊ちゃんなんだよ。悪魔だってなりたてだから実質悪魔歴0歳だ。まだ赤ちゃんだぞ(意味不明)。何もない天界から来て世間知らずもいいとこなのに人間界でよく頑張っている。人間界で生きていくのも精一杯なのに、

怖いです。この間誘われたモルモットカフェは魔界のモルモットカフェだったらしい。魔界は禍々しさが肌を撫でるし、どこか流れる空気が重たいし、道行く人？魔物？を見るとブラックの顔が可愛く見えてくるくらいに…特徴的な顔をしていらっしゃる。それに見た感じ治安も、良くないし。当たり前か、魔界だから。天界とは雲泥の差。本当にはじめて触れる世界だ。すれ違う魔物が俺を必ず見ている…気がする。自意識過剰なだけだといい。きっとブラックを見ているんだ。魔界の人気YouTuberだから。

知らない土地だからかおどろおどろしい空気だからか不安でたまらない。ブラックの腕にぎゅ、と抱きついて顔をできるだけ伏せて隣を歩く。おお、お熱いねぇお二人さん。と冷やかす声にビクンッ、と大きく肩を跳ねさせてしまった。ねぇ、ブラック、俺も悪魔なら慣れる？指を絡ませて繋ぐともちろん、いずれね。と握り返される。幾分か安心する。

周りキョロキョロしすぎて何にも聞いてなかった。キョドりすぎかな。ここら辺は魔界の中でも繁栄している場所なのだろうか。人も多いし建物も多い。色々な種族がいる。魔界って結構多種族で形成されているみたいだ。天界は基本神と天使と遣いの動物、妖精しかいなかったからついマジマジと見てしまう。ほら、あの魔物、髪からキラキラなオーラが出てる。有名人かなんかかな。それともモデル？案外ブラックと同業者だったりして。目の下にもう一つ小さな目があって、肌は赤みがかってて…

大方、世間知らずの田舎者と思われてカモにされたのでしょう。あのままついていけば食われていましたよ。とにこやかに言われた。こわ、怖い。マジで治安悪いじゃん。無意識の行動にすーーーっと背筋が寒くなる。気をつけててもアテられたら終わりなのか。ブラックが止めてくれなきゃオレは今頃胃の中だった。

ブラックの腕に再度抱きつきぎゅーーーっと目を閉じながら歩く。気を引き締めると息が止まる。ブラックにしがみついているうちにカフェに着いたらしい。外観はまぁ…今までよりは多少可愛い、かも…？受付を済ませておやつとタグを受け取り中に入る。きちんと消毒もして靴から中履きに履き替えて。

モ◯カーの声だ…魔界のモルモットもぷいぷいしてる…鼻がひぐひぐして小さくて目がつぶらで…可愛い。今までの不安やら恐怖が吹っ飛んでいく。いきなり抱き上げるのはNGだからそばに寄って撫でてみる。ぷいぷいしてる…(2回目)それしか言えん。かわいい。ブラックがおやつのスティック野菜を一本渡してくれる。モルモットの食べる姿って可愛いよなぁ

モルモットの口の下が大きく避けてスティックの持っている部分ギリギリまでゾリッッと食われた。生臭さと生暖かい呼気に煽られて髪が靡く。飛び散った唾液が服と手先がかかる。腰が抜けてへたりこんでしまった。腹を抱えて仰け反って笑うブラック。ぶっ殺してやるからな。カーーーwwwwゲホッ！ガフッ、！カカカカッ…wwじゃないわ。わざとだな絶対わざと俺におやつやらせただろ。やっぱり魔界の生き物は魔界の生き物だった。

魔界、慣れるにはまだまだかかる気がしてならない。