第24話

気づいていないだけでしてるのでは
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2021/06/16 11:10
お土産はありきたりな温泉まんじゅう。しっとり、でもちょっともそもそした生地にこしあんが美味しい。ただ温泉で炊いただけだから普通のまんじゅうっちゃまんじゅうだよな、と思う。みんなは観光地とか行楽施設のクッキーって買う?俺絶対買わない。コンビニで買えるクオリティのクッキーになんかよくわからんキャラクターがプリントされてるだけのものを高値で売りつけるアレは詐欺だと思う(怒られたらいい発言)。
ブラック
ブラック
そういうのをね、営業妨害って言うんです。
(なまえ)
あなた
でも言いたいことはわかるだろ。
ブラック
ブラック
理解できない程ではありませんが。
ちなみに温泉まんじゅうは5箱買ってきた。1箱の1列分はブラックの分。残りの4.5箱は俺の分。聞こえはケチくさいが、ブラックには人並み以上の分いってると思う。俺が異常に食うだけで。まんじゅう自体も味が単調だからそんなにたくさん食べられないしな。俺は食えるけど。2箱食べたところで止めて残りは明日にとっておくことにした。ちょっと口飽きした。
(なまえ)
あなた
何、今日甘えん坊?
ブラック
ブラック
いや、亡くすよりも生きている方が余程精神にくるな、と。
(なまえ)
あなた
お?死ねと?
冗談。死はもはや免れないし意思とは関係なく訪れる事象だけれど、"嫌われる"と言うことは、相手が自らの意思で決定することだから、納得しようにもできない。でもどうにもできないから精神にくる、ということなのだろう。情緒的なことを言うじゃないか。ブラックらしくない。こうして強く抱きしめてくるのも、同居するようになってから減った気もする。離れる時間がなくなった分惜しんで触れ合う必要も無くなったからなぁ。関係の好転といえばそうなのかもしれない。なんてブラックの腕の中で考えたりして。
案外悪魔も人間と同じ心音をしている。当たり前か、俺も人と同じ心音だから。心地いい。爪も最近はきちんと整えてくれてる。…そういうコトもするし。ふわふわとパーマのかかった俺の髪を撫でる仕草に安心する。ブラックの腕は細い。でも程よく筋肉がついてて、胸板はしっかりしてて。…脱ぐと結構ひきしまっている。…見るたびに、ドキドキしてしまう。
(なまえ)
あなた
………
ブラック
ブラック
何でしょう?その不満げな顔。…かわいい。
(なまえ)
あなた
ん?…いや、ブラックの裸知ってんのは俺だけだ〜なんて思ってたから。…俺以外の人が間近で見たのか、なんて考えたらちょっと胸がくしゅっとした。
ブラックは俺のなのになぁ。胸板に指をつけうりうりと動かす。どこか悔しくて顔を上げそっとブラックにキスをする。…自分からした事ってそんなにないかも。なんかちょっと恥ずかしい。
ブラック
ブラック
カカカッ、今度は二人で行きますか。個室に露天風呂がある宿にでも。
(なまえ)
あなた
ディナーはバイキングな。…朝ごはんも。
ブラック
ブラック
仰せのままに♪
そのまま流れでキスの雨。ブラックはわざとしつこいキスをする。体を引こうとすると追いかけながら口を食まれ押し倒される。床に頭を打たないように手を添えてくれて。優しい。
(なまえ)
あなた
…ブラック、俺のこと好き?
ブラック
ブラック
ええ、一等…きちんと妬いているじゃないですか。
(なまえ)
あなた
ん…もっと言って…?俺も好き
ブラックの頬に手を添えて、柄にもなく熱情に満ちたキスを返す。上唇、下唇と順に食み再度押し当てれば彼は気を良くした。裾から手が入り込む。コイツ調子に乗るとすぐ触りだすなぁ。くすぐったい。いつもなら戯れ合う所だけど、今日は好きにさせてもいいかな。

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