第3話

3. 目覚めると鬼がこちらを見ていた件
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2020/06/06 05:12
???
君…ねぇ君…?美味しそうだね











『ガバッ』












知らない人の声がして飛び起きた。誰だ?こんな夜中に…
とよさん以外の使用人が私の部屋に入ってくることはあまりない。

















暗闇に目が慣れてきて、初めて誰か隣に立っていることに気がついた。



























しぐれ
あなたはだr………





『あなたは誰?』






そう言いかけた言葉は途中で止まった。見たことがあったのだ。その人を。




























明るい髪色にてっぺんだけ血を被ったような模様。どこかの教祖のような帽子。金色の扇。虹色の瞳。そして_______________























瞳に刻まれた「上弦 弐」の文字



































しぐれ
(上弦の弐………童磨!?!?)








そう、その姿は正しく私が前世で好きだった「鬼滅の刃」に出てくる鬼だった。
しかも十二鬼月。しかも上弦。

















ちょっと待ってよ、色々頭が混乱している。まず、童磨がここにいるってことはこの世界は鬼滅の世界線!?
夢じゃないよね…?








てか、そんなことよりも「美味しそうだね」って言った!?私食べられる!?ちょっと待って、やだ!









逃げn………



































しぐれ
(血ッ…!?!?)







薄暗くてよく見えなかったけれど童磨の口の端からは確実に赤黒い汁が滴り落ちていた。見るからにまだ新しい。









その持ち主は多分、






しぐれ
(父様!?母様!?)









とよさん達使用人はこの時間お店の仕込み作業をしに屋敷の向かいにある店舗の方にいる。こんな真夜中だけど、確かそうやって前にとよさんから聞いたことがある。




となると、この屋敷にいるのは私と、父様と母様だけなのだ。











そう考えるや否や私は部屋を飛び出した。向かうは両親の部屋。

















童磨
逃げちゃうのかぁ…君の声くらい聞きたいなぁ?








父様…母様…!どうかご無事で……








ダダダダダダダダダダダダダダダダッ



スパーンッ!




私は勢いよく襖を開けた。


























しぐれ
(ッ…!?!?)





私の目の前に広がっている光景は赤一色だった。




血、血、血。












間に合わない、父様と母様は童磨に襲われた後だった。























嫌だ!そんなの嫌だ!私を愛してくれた父様と母様。厳しくも優しく育ててくれた人。私が転生してきた人間だとしても私は大正時代のこの両親を心の底から愛していた。大好きだった。そんな2人が今、私の目の前で息絶えようとしている。






しぐれ
父様!母様!しっかりして!!!!血が…!
父様
時雨……お前は逃げるんだ……ッ
しぐれ
父様も母様も一緒に逃げるんだから!早く行こう…?
母様
時雨はあの鬼から逃げてこられたのね…。大丈夫、時雨ならきっと逃げ切れるわ。
私たちを置いて……さぁ逃げるのよ。
しぐれ
そんなの…そんなの無理に決まってるでしょう!?父様と母様を見殺しにして私だけ逃げろって言うの!?今助けを呼べば助かるかもしれないのに!!
母様
時雨。




母様が私を呼ぶ声は久しぶりに鋭く、冷たかった。





母様
昔私があげた丸鏡を信じて。今もあなたの胸元にかかっているでしょう?鏡はきっとあなたを守る。
しぐれ
うん……
母様
お店の方に行ったら日輪刀という刀があるわ。場所はとよさんが知っているはず。持っていきなさい。
しぐれ
うん……




2人からは明らかにおかしい「ヒューヒュー」という息の音が聞こえる。もう2人は長くないのだろう。覚悟を決めて行かなきゃ。














母様はお店の方に日輪刀があるって………日輪刀?あの?





え、なんで持ってるの!?母様もしかして元隊士!?
















父様
時雨…早く行け……考えている暇はないぞ
しぐれ
う、うん!今までありがとう、父様、母様…!















もうすぐ死ぬであろう両親を最期まで看取れないのは非常に残念だ。しかし今の私にはやらなければいけないことがある。























両親の部屋を飛び出し、屋敷の向かいの「写山呉服店」の店舗へと走る。確か呼吸があったよね…肺を大きく膨らませて血を手足の先まで巡らせて……








私が呼吸を使えるかなんて分からないけど、やってみるに越したことはない。













しぐれ
とよさん!!!!!!鬼が出たの!!!!父様と母様は襲われてもう死にそうなの。母様にここに日輪刀があるって
とよさん
旦那様と奥様が…!?!?分かりました今すぐお持ち致しましょう。




















私が発した「鬼」の一言に使用人達が一斉にざわめく。それほどに鬼は恐ろしい存在なのだ。今まではアニメの中の世界だったからさほど鬼に対する恐怖というものはなかった。しかし、実際に両親に致命傷を与えられて殺されそうになると、否が応でも恐怖を感じずにはいられない。


















とよさん
時雨さま!日輪刀でございます。どうかお気をつけて!ご武運を。










日輪刀は重く感じた。それでも体の中にある体力を振り絞って、呼吸に意識してひたすらに走った。














童磨
わぁ!君、足速いんだね!すごいなぁ





後ろで童磨の声…!追いつかれる…逃げなきゃ!


















住み慣れた商業町をひたすらに駆け抜ける。少しでも遠くへ。少しでも早く。


















しぐれ
(しまった…!行き止まり…)
童磨
おや、行き止まりだね
童磨
血鬼術 蓮葉氷










うわ!童磨の血鬼術!!生で初めて見た!!すごい!!














じゃなくて!死ぬ!!これは死んだ!
























でも私はやる時はやる女。すぐさま刀を抜く。


































しぐれ
(色が…変わらない……!?)














ああ、私呼吸使えないんだ…まぁそうだよね。私モブだし。鬼滅の刃では。
























呼吸が使わなくとも血鬼術で作られた氷を避けることくらいはできるはず。

















カキンッ



















































日輪刀で氷を弾く音が辺りに響き渡った。



























童磨
へぇ…弾いちゃうのかぁ……
童磨
…ッ!?














一瞬だが、童磨が何かに驚いた。その隙を私は見逃さなかった………とはいかなかったけれど。

















童磨
君面白いね。君のお母さんを食べようかとも思ったけど、そのまま君を追いかけてきて良かった。両親を俺に殺されてかわいそうだね。俺が救ってあげよう。


















ブチッ












自分の中で何かが切れる音がした。そうだった。童磨ってこんな鬼だったね

























しぐれ
ふざけるな!!!!父様と母様を殺しておいて、よくもそんな口が叩ける!
童磨
俺は聞き分けのいい子が好きだなぁ
しぐれ
うるっさいわ!変態サイコパスめ!
童磨
??
童磨
まぁいいや、血鬼術 蔓蓮華








氷の蔓が私に向かって伸びる。そうか、今さっき蓮葉氷使ったから……










これを弾くのはさすがに無理がある……































父様、母様、とよさん達、ごめんなさい。私はどうやらここまでのようです……。















✂︎-----㋖㋷㋣㋷線-----✂︎

○童磨に遭遇した夢主ちゃん
起きてみたら童磨が目の前にいてびっくり。ここが鬼滅の刃の世界線であることをようやく理解した。父様と母様はもうすぐ死ぬだろうし、上弦の弐だし、日輪刀持って逃げろっていうし、行き止まりに来たから刀を抜かないわけにはいかず、これ戦えってこと!?それはさすがに無理すぎる!しかも日輪刀を抜いた時に何も色が変わることなく、軽く絶望。これは死んだ。

○父様
誰かいる気配がして起きてみると知らない男がいてびっくり。後に鬼だと分かる。自分ではなく、妻の方が狙いだと分かってからは自分の身を犠牲にして妻を守る。庇って致命傷を負った人。写山呉服店6代目店主。

○母様この度童磨に殺された人2人目。夫に起こされて鬼が来たことを把握。せめて娘だけでも助かれば、と日輪刀を持たせた。時雨、鏡を信じなさい。

○とよさん
自分が仕える主人が2人とも亡くなった。時雨なら日輪刀を使いこなせると思っている。後に呉服店の7代目の店主になる。

○童磨
今回は何故か信者じゃない人を喰いに来た。本当はお母さんと娘だけ喰って帰るつもりだった。だけどお母さんの方は喰えれないし(喰うのをやめたし)娘はすばしっこいし、なかなか喰えない。しかもこの娘…。時雨の何かに気づいた。
















今回めっちゃ長いやん‪w感想お待ちしております(❁´ω`❁)いいね♥️お気に入り⭐コメント💬待ってます!

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