第46話

スリープモード
917
2022/01/20 09:00



清子さんがここに泊まらない。


と言うことは、私は今日一人で寝るということだ。



知らない場所で、


初めて来た場所で、



広い薄暗い部屋で、


私は、一人で寝ると。




泣くかも。



清子さんの隣でカレーを食べているときも、悲しくて泣きたくなった。




清水「あなたちゃんって、うさぎみたいだね。」

部屋の荷物をまとめながら唐突に言ってきた。


『なんでですか?』


清子さんは、「うーん」と考えて、

清水「私が帰るって知ってから、全然離れなし、死にそうな顔してるんだもん。」


人懐っこいね、と言っていた。


そんな死にそうな顔してたか?



『そりゃ、寂しいですけど、』


清水「寂しいよね、でも....」





清水「___慣れてね。」



その言葉の意味は、なんとなくわかった。



来年は私が一人でマネージャーをやるかもしれない。



それに、もっと沢山の意味があっただろう。




ここで寂しいなんて言ってられない。



私も、繋がなければ。



もし、誰かが入ってきても、新しいマネージャーがいても、繋がなければ。




今は、辛いし悲しいけど、



『.....はい!』


私が今できる、最善のことをしよう。









清子さんは家に帰った。






いざってなると、やっぱり寂しいもんだなぁ。






はぁ、と自販機の横の椅子に腰を掛ける。



今日は疲れた。



あんまり寝られなかったし、昨日の疲れも感じる。




そこから、ゲームのスリープモードに入ったように、頭がまわらなかった。








月島said



合宿如きであんなに盛り上がるなんて、子供か.....



ちょうど、澤村さんが注意してたところを抜けてきた。




喉渇いたな。




自販機に向かって、水を購入した。



疲れたのか、水を飲むと芯から和らぐ感じがした。


ふぅ、と息をついて横にあった椅子に座ろうとした。


!?

『えっ何?怖っ』



そこにいたのは、魂でも取られたように瞬きもしないで、ただ一点を見つめているマネージャーの姿があった。


『チョット、何してんの?』


聞いてみても返事がない。



死んでる?そうおもって息を確認してみるが、きちんと吸っていたしはいていた。



目線の先には、ただの壁。



『本当、何してんの。』


そういえば、王様が言ってたな、

「疲れてると、微動だにしなくなって、オマケに目が死んでて、
 その次の日全然起きなくなるんだよ。」


それってヤバくない?



影山「月島っ」


『王様、何?』


走って、焦ったように駆け寄ってきた。


影山「あなた、見なかったか?」


そう言うので、目線をぼうっと座っているあなたのほうへ移す。


影山「手遅れだったか。」


『これって治るの?』


影山「ああ、治るには治るけど、ホントはこうなる前に寝かせた方が良い。」


なるほど、だいぶ手遅れだったか。



『で、どうやったら治るの?』


王様が、苦虫をかみつぶしたような顔で黙ってしまった。









影山「俺は、優しいから、」


急に話し始めたと思ったら、どうしたいきなり。

そんなことないよって言いそうになった。


影山「あんまり、手荒なことはしたくないけど。」


『でも、明日起きなくて迷惑かかるのは澤村さんだケド?』


うっ、となった王様は面白かった。





影山「すげー、五月蝿くしたら、治る。けど、」


じゃあ、それで良いじゃん。


『じゃあ、あの人達のとこ連れてこう。』


影山「うっ、おう。」

王様は、渋々あなたを持ち上げた。











西谷「やっと来たかって、あなた!?」


そりゃ、びっくりするよな。


続々と他の人も集まってくる。


影山「皆さんにお願いがあるんですけど、」


田中「どうした!?」


影山「えっと、めっちゃめちゃ五月蝿くして下さい!」



少しは躊躇ためらうかと思ったが、王様が言った瞬間に単細胞組が騒ぎ出した。


この人達に躊躇ちゅうちょなんてなかった。


少し残念だった。




澤村さんが注意してたけれど、それすら五月蝿く聞こえてしまうほど五月蝿かった。





そんなことをしていると、支えていたあなたの力がいきなり弱まって僕のほうに倒れてきた。



『王様、どういう事っ?』


お風呂に入って、乾いた髪が手に当たる。


さらさらすぎじゃない?

肌も子供肌なのかもちもちで、目のやり場に困った。



影山「もう良いかもな。そのまま寝かせてやれ。」


なんで、命令形なんだよ!イラァ


仕方なくあなたを布団に倒す。




菅原「寝てても可愛いな~」


まあ、確かに


クラスの女子に比べれば、そこそこ整った顔だし、鬱陶しい訳でもない。




そのまま、皆であなたを囲むようにして寝た。







あなたsaid




目が覚めて、起きた。



『なんで皆で寝てんだ?』

頭がふわふわしているが、確かにそこには、私を囲むようにして寝ている皆がいた。



まぁいいか、寂しくなかったし、オマケに疲れまで取れた。





影山「おはよ。」


もぞもぞとしながら、とび君が起きた。


『おはよう、とび君。』

影山「ん、体調は?」

『元気!ありがとう。』


影山「ん。良かった。」


ふわっと笑うとび君。

子供みたい。

こうしてれば可愛いんだけどね。








さあ、今日から音駒!


忙しくなるぞ!(予定)







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