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2022/01/26

第51話

猫の慰め
その言葉は、突然現れた。






黒尾「帰るぞ。」




たったの一言でも、優しく感じた。






『なん.....で?』




見えた彼は、息をきらして、頬から喉にかけて汗が流れていた。



黒尾「なんでって、.....そりゃ、いきなり出てったら心配するだろうよ。」




そっちじゃない。私が聞きたいのは、それじゃない....っ





『違っ、』


黒尾「もう良いだろうよ。帰るぞ。」



いきなりのことすぎて頭がまわらない。


情報が整理出来ない。







『ど、どうしてきたのっ?』


自分でも、なんで聞いたか分からない。



こんな、惨めな姿を見せるなんて思わなかった。


そんなに走ってまで追いかけて、ただえさえ、練習で疲れてるのに、私のせいでもっと疲れるようなことして








黒尾「.........「そんな目で、私を見ないで、」」


『_____!』



私が言った言葉。






黒尾「誰に向けて言ったんだ?」



『は?』


黒尾「お前には、俺たちがお前に向ける目はどんな風に見えた?」






なにを、言っている?





あの、哀れむような目、期待外れだったと言いたげな目、


『私は、可哀想なんて思ってほしくない。
 
 あの、ニュースキャスターみたいな顔で見てほしくない。』





黒尾「その顔を俺らがしてたって?」



違うの?



黒尾「少なくとも、俺は・・そんな顔してねぇな。」


はい?



うんうん、と頷く黒尾さん。




黒尾「どちらかというと、マジか、すげぇ....くらいにしか思わなかったし?」






『あっそうでしたか.....』


なんか、あっけにとられるかんじ、




この人、性格の悪さは月島君みたいなのに、なんだろう。




温かい。








黒尾「ってか、早く帰ろうぜ...暖かくなってきても、肌寒みぃ」


よく見ると、私に着せたジャージのせいで、黒尾さんは半袖だった。



『寒いんだったら、良いのに......』


黒尾「だーめ、着てて、研磨に怒られちゃう。それに、」


ジャージを返そうとした私の手を止めた。



黒尾「女の子なんだから、冷えたらダメでしょ。」



ふっと笑った姿で、どっかの誰かさんを思い出してしまった。



『黒尾さんってさ、』


黒尾「うーん?」



前を向いて歩き出した黒尾さんが耳だけ傾ける。



『女たらしでしょ。』


黒尾「はあ“ぁ”んっ?」



どっかで聞いたことあるなー。良い声。




黒尾「てか俺一応先輩なんスけど、」



そんな感じしないな。



『そうでしたか?私の兄の友達に似ていますよとても。』



黒尾「どんなとこ?イケメン?」


そゆとこ。



『強いて言うなら、胡散臭さと、女たらし感満載なところですかねっ』


笑顔で応えると、ショックを受けているような感じの顔で私を見ている。




黒尾「女の子ってコワッ」


ムカつく。









黒尾「それって悲しいことだった?」



帰ってる途中でそんなことを聞いてきた。


『悲しい....ね。確かに、』


「苦しい」とかよりも、「悲しい」の感情の方が勝ってる。





黒尾「ふーん、じゃあ、
   
   
悲しいことがあったら、そのぶん楽しいことを探せば?」


えっ


『どういうこと?デスか?』


黒尾「それが悲しいことなら、楽しいことだってあるじゃん。
だったらこれからは、悲しいことが埋め尽くされるくらいの楽しいことをすればいいじゃんってこと」




『そうだね。』

















その後、帰ったら、夜久さんは土下座をして謝ってきた。


研磨君はブレずに、作って置いたアップルパイを分けてくれた。






寝るときは、何故かみんな、私の部屋に入ってきて丸くなって皆で寝た。




慰められてるのかな?











猫みたいで可愛い皆さんでした。