第2話

転校生
37
2019/10/17 07:40
春野 結羽
よろしくお願いします……
星山 楓
こちらこそよろしく。
何で隣の席になってるんだ……
一人で毒を吐きながら挨拶を返す。
春野さんは私が今日初めて話した子だ。
小説などでよくある展開、転校生が隣の席でしたー、という流れ。
これが今私の目の前で起きている。
春野 結羽
あ、あの名前を聞いても良いですか……?
星山 楓
あ、うん。私は星山楓。
それしか答えるものが見当たらないので名前を言うと、気まずそうな雰囲気が流れた。
そりゃそうか、小説や漫画の主人公はもっと陽気で優しくて、皆の人気者だからね。
春野 結羽
春野 結羽と言います……あ、あのタメ口でも良いですか?
星山 楓
あ、はい……じゃなくて、う、うん。
転校生の立場が逆になってるような……まぁ、いいか。
どうせこの子も……春野さんも 私がどんな人間か分かった瞬間離れていくんだから。
春野 結羽
あ、あと、嫌だったら良いんだけど……
春野 結羽
あの、楓って呼んで良い?
出ました出ました、呼び捨てOKかどうか聞く人。
星山 楓
あ、うん。いいよ。
特に断る理由は無いからね。
きっと、皆名字で呼ぶように変わっていくのだろうけど。
クラスメート
……春野さん、あんなに可愛いのに星山と話してるね
ほら、嫌味。
クラスメート
星山なんかに話し掛けられてて可哀想だね。
春野 結羽
あの……
春野 結羽
私が、楓に、話してるんですけど……
クラスメート
あ、そうなんだ、ごめんね、春野さん。
その瞬間、クラスメートの睨むような視線を感じる。
クラスメート
あんな友達一人も居ない奴に話し掛けても良いことないと思うけどね~?
先生が居ないと始まるこの悪口大会。
クラスメート
あ、そっか。春野さん、良いこと教えてあげる。
春野 結羽
……何、ですか?
クラスメート
あ、タメ口で良いよ~
春野 結羽
あ、うん
クラスメート
あのね?去年はこのクラスにもう一人女の子がいたんだけどね?
そう言って私の方を嘲笑うかのように睨み付ける。
クラスメート
その子、今は居ないの。
星山 楓
……やめて。
クラスメート
何でだと思う?
クラスメート
その子、死んだんだ。
教室の中が凍りついたかのように寒い空気が流れる。
春野 結羽
……!!
クラスメート
そんなに驚かないでよ、私は本上麗香。麗香って呼んでほしいな~
本上 麗香
その子が死んだ原因は……
春野 結羽
え、ちょ、楓……!
本上 麗香
あらあらー、逃げるんですかぁ~?
煩い奴等は無視。
それが私のルール。
あの子の話をあいつらの口からなんて聞きたくないから席を立つだけ。
そう自分に言い聞かせ、私は教室を出たのだった。

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