第56話

リクエスト。続き。
2,066
2020/01/30 13:22
何もない。真っ白な世界。










あなた

…………………ここ、どこ?











周りには、何もない。









何も………………………
あなた

………………あらん?

人影が見える。私は、無意識に彼の名を呼んだ。









私は、その人影の元へ歩いていく。









あなた

亜嵐…………………亜嵐!

向こうを向いていた人がこっちを振り返った。









亜嵐だ。









でも、彼は寂しそうに、悲しそうに微笑んで、私から離れていった。

あなた

待って……………亜嵐

呼びかけても、止まってくれない。
追いかけても、追いつけない。
あなた

亜嵐……………………待って……………………………亜嵐………………………











★★★
あなた

あ、らん…………………………

白濱亜嵐
……………………あなた?
あなた

え………………?

白濱亜嵐
来るの、遅くなっちゃってごめんね?
目を覚ますと、亜嵐がいた。
連絡していないのに。
仕事だったはずなのに。
あなた

………………帰って?

白濱亜嵐
なんで?
あなた

移しちゃうから……………

白濱亜嵐
マスクしてるから大丈夫
あなた

真弘は?

白濱亜嵐
真弘く…………………真弘ちゃんが連絡くれて。なんで教えてくれなかったの?
あなた

亜嵐、忙しいし、移しちゃうから

白濱亜嵐
俺、そんなにヤワじゃないけど?
亜嵐はそう言って、私の頭を撫でた。


白濱亜嵐
ねぇ、あなた?
あなた

………………ん?

白濱亜嵐
今度、こういうことがあったら連絡してね。絶対
あなた

…………………

白濱亜嵐
大切な彼女が苦しんでんのにほっとけないよ
あなた

…………忙しいでしょ?

白濱亜嵐
まぁ、ありがたいことにね
あなた

……………亜嵐、休まないと倒れるよ?

白濱亜嵐
風邪ひいたやつがよく言うよ(笑)大丈夫だよ、休めてないわけじゃないし。それに…………………
あなた

それに?

白濱亜嵐
あなたのそばにいられるときにそばにいたいから。俺にとってはこっちの方が大事
亜嵐は、いつもより優しい口調で話してくれた。

頭を撫でてくれる手は温かくて大きくて、私は…………

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