第8話
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それから1週間経たないうちに、涼太は別れた。
これでも長く続いた方。
けど、…
私がそう言うと優しく頭を撫でてくれる涼太。
私だけ知らないことがあるなんて、
ハブられてるみたいじゃん。
そして、1ヶ月後。
この日は私の誕生日だ。
いくら翔太でもこの日は優しくしてくれる。
毎年、3人と親で過ごす。
いつもみたいにワイワイはしゃいでいると、
私のお母さんとお父さんが真剣な顔をして話し始めた。
母「あなた、言わなくちゃいけないことがあるの。」
父「驚かずに聞いてくれ。」
そこで聞いた内容は衝撃的なことだった。
私が、記憶喪失なこと。
それも、中学校3年間の記憶だけがない。
記憶喪失になった原因は事故。
お父さんもお母さんも、
涼太や翔太までも静かに頷く。
涼太に呼ばれ外に出る。
2人になった時。
涼太が
そう言った。
意味がさっぱりわからなくて、
何度も聞き返すが結果は同じ。
てかなんで、涼太を好きな事知ってるの…?
私は涙こらえながらそう聞く。
けど、涼太は答えてくれなかった。
私は大事なことを、忘れているのだろう。
たしかに、ちゃんとした中学校の記憶はない。
家に戻るとお母さんはないていた。
母「ずっと黙っててごめんね。」
どうしても、シーンとしてしまう空気。
そう言って自分の部屋に帰る。
そして1人で涙を流す。