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第1話

〜PROROGE〜
2,921
2022/10/22 15:00
_________ポートマフィアの本拠地

時間は既に24時を上回っており、

後2分程で25時になってしまう程の真夜中である

今宵は満月

星が一つも無い真っ暗な夜空に浮かぶ夜月が

光も何もない長い廊下の足元を美しく照らした

そして、…廊下の暗闇の中から人が独り

コツコツ…と、奥から足音を響かせた

月に照らされ、その人の姿が良く見えるようになった

ネクタイを少し緩く締め、

シャツの一番上のボタンを外し、

外套を肩に掛け、

両手には大量の資料を持った、

青年。

見た目は男でありながらも可愛らしく、

黒い外套と茶髪がよく似合う。

ぱっと見普通の可愛らしい青年だが、…

彼は黒。

そう、彼は、ポートマフィアの人間である。

ポートマフィアの構成員、

「太宰あなた」

太宰あなた
ふぅ、…此の資料っ、…重いなぁ、…
太宰あなた
…っ、…何でこんなに多いんだろ、…?
太宰あなた
…治にぃも、…お仕事とか任務とか、色々と大変だなぁ、…
太宰あなた
…まぁ、…
太宰あなた
僕なんかよりもよっぽど偉い、「幹部様」、だしなぁ、…
太宰あなた
大変なのは、…当たり前かぁ、…
彼が口にした「治」と言う名前

フルネーム、「太宰治」

あなたの双子の兄であり、ポートマフィアの歴代最年少幹部

拷問、暗殺、殺害、…

色んな罪を犯し、未だこの世に存在する

悪魔だ。
太宰あなた
はぁ、…僕ただの構成員なのに、…
其の後又長い溜息をついた

ふと顔を上げると、

時計が壁に引っ掛けられており、

長針はもう既に、25時を上回っていた
太宰あなた
やばっ、…!?早く行かないとっ、…!
此の時間帯なら、まだ起きている筈だ

そう思いながら急足で静かな廊下を歩く

廊下は、未だ満月に照らされた儘だった

ハァ、ハァ、と少しだけ息を切らしながら、

少し離れた所に見える焦茶色の色をした扉の前まで歩いた

此の、辿り着いた場所は、…
太宰あなた
…治にぃ、入るよ?
太宰治
…嗚呼、入って来てくれ給え
先程の、太宰治と言う名の男の部屋

あなたは先程から両手に持っていた資料を、太宰治に届けに来たのだ

重い資料を片手で持ち、握り玉ドアノブに手を掛けた
太宰あなた
失礼しま〜す、…
ゆっくりと彼が扉を開けた瞬間、…
中原中也
おいあなたっ!?手前また此奴にコキ使われてんのかっ!?!?!?(((←
太宰あなた
ぅおっ!?!?(((←
橙色の髪

透き通った淡いラピスラズリの様な美しい瞳

とても小柄で身長が低く、

帽子がとても良く似合う

またもや、ポートマフィアの人間
太宰あなた
えっ?、…えっ!?中也っ!?!?!?(((←
「中原中也」の顔面がドアップして目に写る

彼は、幹部の「尾崎紅葉」の部下で有り、

太宰治の相棒

二人は一夜で敵組織を建物ごと破滅させた事から、

黒社会最悪の二人組、「双黒」と呼ばれている
太宰あなた
ていうか、中也なんで治にぃの部屋に、…?
中原中也
…あ?手前に会いに来たに決まってンだろ
太宰あなた
…でも此処、僕の部屋じゃないよ、…?
中原中也
手前の部屋にさっき行ったが、返事が無かったからな。此処にいると思ってきてみれば、…
そう言いながら中原中也は後ろにいる太宰治を視界に入れ、

睨みながら話の続きを口にした
中原中也
…まるで俺の愛する奴を奴隷のように扱う屑兄がなぁ、…?
太宰治
…屑兄、…?中也、今私の事を屑兄と言ったのかい、…?
その言葉に反応した太宰はガタッ、と席を立ち、中原中也の目の前に立った
太宰治
何を言っているんだい中也、…?
太宰治
…私はあなたの実の兄で有り、…私は彼を愛している、…
太宰治
…此れの何処が、…“屑兄”なのだい?
部屋全体が凍りつく

二人は、相棒でありながらも仲は最悪。

犬猿の仲である

そして、…

二人は、「太宰あなた」を溺愛している

…「殺したい程に」、…

…彼らは、所謂「ヤンデレ」と言うものなのだ
太宰治
…ねぇ、あなた、…
太宰あなた
んひゃぃっ!?
沈黙を最初に破ったのは、太宰治

急に声をかけられ、あなたは口から変な声が零れた
太宰治
私達、ずっと一緒だよね、…?
太宰治
あなたは僕を、見捨てたり、殺したりしないよね、…?
泣きそうな声で、一歩づつゆっくりと近づいて来る太宰治。

右目は包帯が巻かれており、

左目しか見えない

その左目には、ハイライトが宿っておらず

吸い込まれてしまうような真っ黒な瞳に、あなたがハッキリと写っていた

彼の視界には、あなたしか写っていなかった
太宰あなた
ちょっ、…!?治にぃ、…?
あなたの目の前に立った瞬間、太宰治はあなたの腰に手を回し、

自分の胸の中にすっぽりとあなたを収まらせた
中原中也
…んだよ手前、離れろや糞太宰
…その行動が気に入らなかったのか、

中原中也からはドス黒い殺気が太宰に向けられている

彼の目はまるで獣のようにギラギラと光っており、

先程の美しい目とはまるで大違いだった

そしてズカズカと此方に近づき、

あなたの手首をパシッと握り、

自分の方に少し寄せた
太宰治
ふふ、私の弟なのだよ?君が離れ給え
あなたの代わりに中原中也の手を祓い、

又あなたにギューッと抱きつく太宰治

非常に可愛い行動をしているが、

未だお互いに睨み合っている

彼奴らの間には火花が散っており、

あなたは何かしらの危機を感じた
太宰あなた
…なんでこうなったの、…?
何故僕がこんなにも兄と兄の相棒に愛されているのか

何故彼らはヤンデレ化してしまったのか

あなたとヤンデレ双黒の日常が、

此処から始まった___________________________。
NINA
NINA
リクエスト有難う御座いますっ!✨
NINA
NINA
頑張って書いていきますよ〜っ!✨

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