第2話

-雷のせい 🐹×男夢
1,612
2023/01/24 07:13
【あなた side】


はぁ、何でこんなに憂鬱なんだろ、
天気のせいかな。

山奥にある白い大きな建物の窓から
ぼうっと遠くを見る。

遠くでは音がした数秒後に光が落ちている。

雨音が激しくなって来た頃、
コンコン、いやゴンゴンと
しつこくドアを叩く音が聞こえた。
あなた

ったく、こんな時にどうしたっての?
宅配かよ…

そんな事をぶつぶつ言いながらドアを開けると、
見慣れない女性が3人。

身長は俺より10cm下ってとこ。

1人は雷に怖がってしゃがんでいて、
可哀想で見てもいられない。
mina
ごめんなさい、どうか家に泊まらせて下さい…!
momo
お願いしますっ…!
あなた

いや、は?
なんなんですか、いきなり…

とりあえずよく分からん3人組を玄関に置いて、
自分は洗面所にタオルを取りに行く。

3枚でいっか…

タオルを1人1人に投げつける。
momo
ありがとうございますっ!
mina
ありがとうございます…
sana
……
その中で1人だけ、投げてもしゃがんだ状態から
動かない人が居た。
あなた

どうしたんですか?

そう声をかけた数秒後、
落雷の音が近くで聴こえる。

同時に彼女の肩がびくりと動く。

相当なビビり……?いや、雷が怖いのか。
sana
さな、かみなり…こわくて……
自分の事名前で呼ぶの、可愛すぎかよ。
あなた

はぁ……取り敢えず靴脱いで上がって下さい
二人も拭けたら来ていいですよ、
汚いですけど

そう言い残し、
たどたどしく靴を脱いだサナさん
(合っているかは分からないが)の
手を引いていく。
あなた

上着だけ脱いで下さい
家濡れるの嫌です

そう言うと、やっとこちらを見た彼女。

可愛い過ぎてうっとりしてしまいそうなのを
堪える。
sana
脱いだ…
上着は俺が拭いて畳んでおいて、
半袖になった彼女をリビングへ連れて行く。

と、また雷の音。彼女はしゃがみ込む。
あなた

大丈夫ですよ…

流石に可哀想になって
腕の中に閉じ込めてしまえば、
彼女の耳がみるみる赤くなる。

そのまま彼女の頭をわしゃわしゃと拭く。

頭を拭き終わって彼女にタオルを
あげようとするも、返されてしまう。
あなた

いや、足は流石に自分で……

sana
足も、拭いて…?
なんて上目遣いで言うもんだから、
本当に耐えられない。

理性の欠片を集めて溜息を付く。

ハーフパンツから覗く露出度のとても多い足。

太腿の付け根あたりまで見えていて、
少し、いや相当エロい。

まずはびしょびしょの足先を拭く。

そのまま上に向かって太腿の内側辺りを拭くと
sana
んっ……
と嬌声の様な甘い声が聞こえる。

理性も崩壊しそうになりながら、
その声の主を見てみるとやはり真っ赤。
sana
やっ、こっち、見んでや……
そのまま優しく足を拭いてあげて、
またもや雷にビビる彼女をソファーの上で
抱き締める。


と、さっきまで体を拭いていた2人が
リビングへ来た。
mina
お邪魔します……っ!?
momo
さーたん顔真っ赤やで?
なんかやったん?
いや何で俺が悪いみたいになってんの……
あなた

いや、なんでもないです

急いでサナさん(?)を
ソファーの隣に置く。

と、また雷が鳴って
サナさん(?)は俺に飛び付いて来た。

可愛すぎるでしょ、もう。
momo
や、やばいなさーたん…やってるわ……
mina
……
静かそうな人は窓際に立って、
カーテンの隙間から雷に見入っている。

雷が好きなの…か?

この人達、色々やばい……
あなた

っていうか、あなた達誰なんですか?

そこに立っていたうるさそうな人に聞く。
momo
え、うちらの事知らないん!?
あなた

あ、ごめんなさい…

momo
別にええけど……
うちらはTWICEやで!
9人組のK-POPグループの…

で、うちはモモ!!
mina
……名井南。
あなた

この人はサナさんですか?

momo
おん、そ…
って、なんで知っとるん!?
あなた

いや自分の事名前で呼んでたから……

momo
あ、そっか、確かに
へへへ、と笑う彼女をよそに、
スマホで『TWICE』と検索する。

俺の思った以上に人気な彼女達は
世界中で人気らしい。

確かに『TT』とか聞いた事あるな…
社会現象にまでなったし。

と、その時またもや雷。

ミナさんは目をかっぴらいて見てて、
サナさんはびくびくして俺に抱き着く。

抱き締めてよしよしすれば、
ちょっと落ち着くみたい。

これサナさん推しにめっちゃ失礼だな…
ってか、なんでこんな有名なアイドルが?
あなた

あの、なんであなた達がここにいるんですか?

momo
丁度この辺りの動物園に
行こうと思ってて…
出してきたのは俺の働く動物園の名前。
あなた

俺、そこで働いてますけど…?

momo
えっ、そ、そうなん?
明日連れてってや!
あなた

まぁいいですけど…

momo
やったー!!
この人本当にうるさいな、とか思いながら
画面にいるTWICEメンバーの一人
『湊崎サナ』の文字に触れる。

サナは愛嬌がメンバーで1番〜〜である。

写真を見てみると、めっちゃ可愛い。
本人がいる前で言うのもちょっとだけど。

顔、真正面から見てみたいな…
でも当の本人は顔を見せるどころじゃないから。
momo
あ、そういえば自分、名前なんて言うん?
あなた

俺はあなたです

momo
ふーん、あなた、よろしくな!
あなた

は、はい…

と、ここでこいつら風呂はいった方が
いいんじゃね?という事に気付いた。

服は俺の姉貴のものが2枚くらいあったはず…
あなた

すみません、皆さんお風呂入りませんか?
身体も冷えますよ?

今日は夏にしては肌寒い気温。

風邪を引いてはいけないので、提案する。
momo
ええな!
mina
服はどうするん?
うちら、下着しか持ってきてへん……
あなた

俺の姉貴のが2セットくらいあるから
多分大丈夫ですよ

momo
後の1人はどうするん?
あなた

俺の着てもらうしか無いですけど…

momo
ならええか!入ろ〜
そう言ってどたどたと風呂の位置を探し始める
モモさんに呆れる。
あなた

こっちです。サナさんも来て下さい…

いつまで経ってもビビるサナさんを
仕方無くお姫様抱っこする。
軽すぎる…

サナさんは顔が真っ赤になってて、
間近で見るとやはり可愛い。可愛すぎる。

モモさんがギャーギャーうるさい事言ってるけど
気にせずに。

だって風邪引かれた方が困るもんね。
あなた

着きましたよ

俺が服は用意しておくんで、
入っておいてください

momo
色々ありがとなぁ
mina
…ありがとうございます
サナさんは少しぺこりとお辞儀をして、
その頬が赤くなっているのが見える。


騒がしい風呂場をスルーして自分の部屋へ行く。

自分の部屋は大きく、
黒を基調とした家具が少しだけ並ぶ。

クローゼットから服を1着取り出す。

シンプルな白いパジャマのパーカーと
茶色いズボン。

俺のサイズなのであいつらよりは
かなり大きいだろうが、仕方が無い。

次に姉貴の部屋…と言っても、
偶に来る時に泊まらせる為の部屋なので
本当に何も無い。

ここにはダブルベッドもあるし、
俺の部屋のベッドもダブルだ。

寝場所には困らない…はず。

俺は今日は自分の部屋のソファーで寝るかな。

姉貴のクローゼットにはやはりパジャマが2着。

これは多分あいつらくらいだろう。

その3着を風呂場の前へ置き、
一応ドライヤーもコンセントを差しておいて、
リビングのソファーでスマホを弄った。

momo
出たで〜!!
しばらくすると、どでかい声で叫ぶモモさん。

そうだ、部屋の事言わないと。
誰か1人部屋になるって。
あなた

ん、あのー

sana
ん?どしたん?
あなた

えっ、サナさん!?

サナさんは雷が止んだからか
もうこわがっていなくて、
満面の笑みでこちらを向く。

やばい、可愛すぎる…
一目惚れ、したかも。
sana
??
あなた

あ、なんでもないです

それで、寝る部屋が2人と1人に
別れてしまうんですけど……

mina
…どする?
momo
じゃんけんで決めよ!!
sana
いいな!
結局3人はじゃんけんして、
負けたサナさんが俺の部屋へ。

サナさんは俺の服を着ているからか、
ちょっとだぼっとしていてとても可愛い。
あなた

サナさん、ごめんなさい
俺の部屋なんかに来させちゃって…

sana
別に、サナは大丈夫!
こちらこそあなたの部屋入ってごめんな?
あなた

別に俺は良いですけど……

あなた、と呼ばれる度に胸がときめく。

流石に好きな人さえいた事の無い俺でも
すぐに分かった。

恋、しているかも。


その後サナさんと色々世間話をしている時、
サナさんが同い年の事に気づいた。

なんで俺敬語使ってたんだ…
sana
敬語外してや!
あなた

あ、うん。外す。

sana
ひひっ
サナさん…いや、サナは笑い方が
少々おかしいらしい。

それがまた可愛いのだが。
あなた

ん、そろそろ寝る?

sana
んにゅ
あなた

どっちだよ

サナが俺にずっとくっついて離れない。

可愛いけど寝ないと…もう11時だぞ?


そんな事を考えていたら、
サナが急に思い切り抱き着いて来る。

やっばい、本当に可愛い。

とりあえずサナをお姫様抱っこして
ベッドにダイブさせる。

きゃっきゃ言ってるサナを置いておいて、
俺の布団をサナに使わせる。

その代わり俺はソファーで毛布を使ってでも
寝ようかな…

そんな事を考えていると、
サナに思い切り腕を引かれる。
あなた

ん?何?

sana
…一緒に、寝ないの?
あなた

いや、だって

sana
さな、一緒に寝たいなぁ…
なんて涙目でおねだりされるもんだから
仕方ない。

ダブルベッドに寝ているサナの横に入れば
サナが抱き着いて来て。

仕方なくそのまま寝る事にした。


それから30分。

俺はこんな状態でとても寝れなくて、
絶賛スマホを弄っている。

隣のサナはというと、多分寝ている。

サナ、可愛すぎ……
あなた

可愛い

寝ているのをいい事に
さらさらの髪を撫でながら言うと、
サナの頬が心做しか朱に染まった。
あなた

サナ、起きてるでしょ

sana
……
寝てるふりを極めるサナ。
あなた

寝てるんだから、いいよね

そう自分に言い訳して、
俺はサナの紅い唇にキスを落とした。







-これも全部、『雷のせい』

プリ小説オーディオドラマ